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間違いの元を探す

by 唐草 [2019/11/07]



 提出されたレポートを読んでいたら気になる数字が記載されていた。ある業種の業界研究に関するレポートなのだが、最大手の2企業の通年売上があまりにも離れていたのだ。ぼくだって正確な数字を把握している訳ではないが、それでもひと目見ておかしいと思うレベルで間違っていた。なぜなら、業界1位と2位の売上の差が20倍という驚異の違いになっていたからだ。その数字を目にしたぼくは、一瞬自分が間違っているのではないだろうか不安になるほど驚いてしまった。
 元から1位と2位の差は大きい業界である。ぼくが確認したところ、1位の売上は8.5兆円ぐらいで2位は1.2兆円程度だった。しかし、レポートでは1位が6.3兆円で2位が0.3兆円となっていたのである。どう考えても間違いである。
 こんなにも不正確な情報を掲載したレポートなので当然再提出である。間違っていると突き返すことになるだろう。しかし、突き返す前にどうしてもやっておかなければならないことがある。この間違った数字がどこから出てきたかの確認である。
 上場している大手企業の売上額なんてネットで検索すればすぐに見つかる。もしこれが非公開のプロ野球選手の年俸調査だったら、メディアによって推定が異なることもあるかもしれない。でも、株式を公開している企業の売上は、投資家に対して企業自身が公開している情報である。推定値が独り歩きする余地などどこにもない。
 ぼくが普通に調べる限り、レポートに書かれている数字を見つけることができなかった。一体、何を調べた結果なのだろうか?
 本来の調べ方とは逆に、レポートに書かれている数字で検索しらた0.3兆円の方の出どころは発見できた。2位の企業の第1四半期の売上らしい。これなら本来の約1/4だったことにも納得できる。でも、もう一方の6.3兆円の出どころの調査は難航に難航を重ねた。結局、決算時に企業が公開する投資家向け資料を片っ端から読むまで答にたどり着くことはできなかった。なんと6.3兆円は第3四半期の決算の際に発表されたQ1からQ3までの9ヶ月分の売上合計だった。なんで、レポートを書いた彼らはそんな妙な数字を拾ってしまったのだろう?さっぱり分からない。
 検索で間違った結果にたどり着いてしまうことはよくあることだ。でも、他人と同じ間違えにたどり着くのは簡単なことではない。そのことを身をもて体験した2時間だった。