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リモコンを直す

by 唐草 [2021/02/16]



 テレビのリモコンの調子が悪い。赤い電源ボタンをポンッと押してもテレビがつかないことが増えてきた。連打するか、ボタンがめり込むぐらい力いっぱい押さないとテレビはつかない。
 電池切れかと思って新品の電池に交換したのに改善しなかった。そう言えば、音量ボタンは問題なく動いていた。冷静に考えれば電池が原因でないのは明白だったが、反射的に「リモコンの不調=電池切れ」と考えてしまった。つまり、まだ使える電池を捨ててしまった。ちょっともったいないことをした。
 電池が原因でないとしたら問題は基板側ということになる。そして、調子が悪いのはもっともよく押す電源ボタンだけ。きっとボタンのゴムの裏にある伝導体が摩耗したか、ゴミが挟まってしまったかのどちらかだろう。分解して清掃したり、導電部分を鉛筆とかでかさ増ししてやれば直るだろう。
 早速リモコンを分解しようと裏面の小さなネジをメガネ用のドライバーで外していった。目に見える4本のネジを外したので、後はプラスチックのカバーを外して裸にするだけ。力任せに外すとカバーが割れたり、基盤のコンデンサとか抵抗を傷つけてしまう。服を脱がすようにそっと外す必要がある。焦りは禁物だ。
 リモコンの隙間にそっと爪を当てて優しく外そうとした。だが、ビクともしなかった。まだネジ止めが残っているかのような硬さである。力を掛ける位置を変えてみたりしたが、ぼくの柔らかい爪が曲がっただけで基板は殻の中に閉じこもったまま。
 隠れたネジを探してみるがそんなものはなかった。今度はドライバーを使ってカバーを剥ぎ取ろうとした。でも、ドライバーを当てた部分のプラスチックが不自然に歪むだけでカバーが外れそうな気配はまったくなかった。接着されていると言われても納得できる硬さだ。
 これ以上力をかけるとカバーが割れてしまいそう。カバーが割れて基板剥き出しのリモコンよりは、ボタンの反応が鈍いリモコンの方がまだマシ。最悪を避けるという消極的な妥協を下し、ぼくはリモコンのネジを締めていった。たぶん、このネジを閉めなくても問題ないと思いながら。