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イヤなバイト

by 唐草 [2021/02/04]



 先日、面倒な仕事を依頼された。1日限りの仕事で日当15,000円。時給換算しても悪くない。11時集合なので苦手な早起きも必要ない。お昼も出る。条件だけを見ればいい話だ。でも、仕事の中身を考えると二の足を踏んでしまう。伴う責任と求められる精度が、かなり高いからだ。
 話を聞いた時、ぼくは全然乗り気でなかった。いくら好条件と言えども、苦手な仕事には携わりたくないというのが偽らざる本音。ただ、ぼくのわがままを聞き入れてくれる余地はどこにもなかった。先方が人数を揃えるのに躍起になっていたので問答無用の採用となっていた。ようするに依頼の体をなした事後連絡だった。
 仮病でサボることも検討したけれど、ここまで来たら腹を決めるしか無い。お小遣いがもらえるんだと割り切ってしまうのが一番だ。これから訪れる業務に緊張しているよりも、報酬の15,000円を何に使うかを考えていたほうが幸せだ。
 ぼくのことだ、臨時ボーナスはいつものようにゲームかPCパーツに消えることになるだろう。PS5購入資金の足しにしたいところだが、まだまだ本体は買えそうにない。うまくセールを活用してゲームソフトを3本ぐらい買うのが良いかもしれない。ここのところ『Ghost og Tsushima』がセール対象になることが多いので買いどきだろう。PCパーツを買うならSSDを買いたい。500GBぐらいのを複数買うか、1T級のを1枚買うか迷うところだ。
 そんなことを楽しく考えていたぼくの元に1通のメールが届いた。送信者は、今回の仕事の依頼主である。
 メールには、今回のぼくの仕事がキャンセルになったと書かれていた。仕事の規模が読めないので多めに依頼を出していたが、想像以上に規模が小さくなってしまったので何人かをキャンセルすることになったらしい。ぼくが、そのキャンセル者のひとりとなったそうだ。
 初めは断りたいと願っていた仕事だった。でも、気持ちを切り替えた後にキャンセルを告げられると、それはそれで腹が立つ。ワガママなのは、ぼくか?それとも、都合で人を振り回す依頼主か?