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掛け金は定期代

by 唐草 [2021/03/22]



 緊急事態宣言が解除された。ぼくは、この判断に失望の色が隠せない。まだまだ医療現場が逼迫していて病床の空きに不安があるとか、実行再生産数が0.7を下回るまでは爆発的増加のリスクが潜んでいるといった具合に宣言解除が時期尚早だととなえている人たちもいる。ぼくは先に上げたのとはまったく別の理由で宣言解除を残念に思っている。宣言解除にともなって職場の勤務体制が、在宅勤務推奨から通常の出勤義務へと戻ってしまったからだ。
 先の1年間のぼくの仕事内容と働きぶりを考えれば、少なくともぼくだけは未来永劫在宅勤務の方がいいだろう。残念なことに日本の組織は、例外を認めず旧態依然の横並びを強要してくる。だから今日から出勤となった。
 通常通りの週5出勤となると定期券が欠かせない。これまでは週2出勤だったので、定期券を買ったほうが高くなるという微妙な状況にあった。だから、この1年定期券を買っていなかった。職場からは交通費が支払われているので損得抜きに定期券を買うのが義務かもしれないが、在宅勤務用にマイクとかを購入するための資金として交通費の一部を利用させてもらった(とぼくは言い訳を考えている)。
 今日は定期券を購入してからの出勤となった。コロナの状況次第で社会の情勢はガラリと変わる。果たしてこの購入は、吉と出るのか?それとも凶と出るのか?ただ定期を買うだけなのにギャンブルのような気分となった。
 感染に関する数字を見ている限り、状況は好転しているとは言い難い。贔屓目に見てもギリギリのラインで硬直しているとしか思えない。懐疑主義者でなくとも慣れが生む気の緩みと新生活のスタートが重なることで4月に感染拡大第四波の到来を想定している。この悲観的な想定が防波堤としての役目を果たしてくれればいいのだが、ぼくだって街にほころぶ桜の花を見ているとなんとなく浮かれた気分になってしまう。そんな気分では、対策の呼び声も虚しくあっという間に振り出しに戻って再び緊急事態宣言が出されてしまうかもしれない。
 そうなったら定期を買ったのが損になる。でも、再び在宅勤務推奨に戻れるのならそれも悪くないと心のどこかで思っている不謹慎で当事者意識にかけたぼくがいる。