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一番使うアプリ

by 唐草 [2021/04/20]



 スマホの利用統計情報に「一番使うアプリ」という項目があった。なにをもって「一番使う」と定義するかは難しい。閲覧時間でもいいし、通信量かもしれない。バッテリー消耗率でも納得ができる。
 今のぼくのスマホは、インターネットを見るための機械と言っていいだろう。最近はゲームで遊んでいないし、小さな画面で動画を見る気はない。SNSとも距離を置いている。写真撮影だって月に一度ぐらい。およそスマホらしい使い方はしていない。スマホが普及する前にノートPCでやっていたのと同じことを今もしているだけ。三つ子の魂百までじゃないけれど、一度身についてしまった習慣は簡単には捨てされないようだ。
 こんな使い方だから一番の基準がなんであれ絶対にGoogle Chromeブラウザが一番使うアプリだと信じていた。ところが、驚くべきことにChromeは、一番ではなく二番だった。
 ぼくのスマホで一番使われていたのは、なんと「スクリーンロック」。アイコンをタップするとスマホの画面を消してくれるアプリだ。今まで使ってきたスマホやタブレットの多くが電源ボタンの不調に見舞われていたので、スマホ延命のために電源ボタンを押さずに済むようにと導入した。
 確かにスマホを置く時に必ず使っているアプリだ。つまり、1日に何十回も使っていることになる。起動回数という尺度で計れば、ずっと起動しっぱなしのブラウザよりも使っていると言える。でも、使うのは一瞬だし、何より押すと画面が消えるので使っているという感覚がまるでない。裏で密かに働くソフトと違って能動的にタップして使っているのにも関わらず存在を認識してもらえないというのは、なんとも悲しい。ぼくがアプリの製作者だったら相当落ち込んでしまうことだろう。
 縁の下の力持ちとは違って、当たり前過ぎて意識されない存在。もしかしたらぼくたちの身の回りには、気がついていないだけでそんなものがあふれているのかもしれない。