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HPの正しい表現

by 唐草 [2021/05/01]



 ヒットポイント(HP)という概念は、ゲームによって呼び方は異なっていても広く受け入れられている。攻撃を受けると減っていって0になると死ぬ。もし、この概念が発明されていなければゲームは今のように発展していなかっただろう。
 HPはゲームをゲームたらしめている要素だが、現実的に考えてみるとおかしな数字だ。
 ゲームのキャラクターは、HPが満タンでも残り1でも同じ能力を発揮できる。銃でバンバン撃たれても、ドラゴンの炎に焼かれても、高いところから落ちても何食わぬ顔で動き回っている。現実ではそんなことはありえない。傷を受ければ動きも緩慢になるし力も出ない。一晩寝ればどんな傷もたちどころに癒えるなんてこともない。
 このようなHPの解釈は、実は原義からは外れている。HPは「致命傷を受けずに回避できる集中力」を数値化したものとして発案された。攻撃をヒットさせるために削るポイントという意味。だから「ヒット」ポイントなのだ。
 ファミコン時代のドラクエのような動きのない画面なら「剣と魔法が飛び交っていても実は回避やガードしている」と原義通りにHPを解釈する余地もある。でも、ゲームの表現がリアルになっていくにつれ、この詭弁のような解釈は成り立たなくなっていった。
 その結果、死の間際まで元気いっぱいの超人が量産されることになった。
 現在のリアルな描写の中に本来のHPの考え方を導入することができるだろうか?素直に回避していると解釈すると、どのゲームのキャラクターは映画『マトリックス』でエージェントと対峙した屋上バトルような超回避を披露し続けることになってしまう。人間離れした動きをするぐらいならゾンビにガブガブ噛まれてもピンピンしている方が、まだリアリティーがあるようにも思える。
 無理なく落とし込むなら「不可視のシールドを展開していて、ダメージを負うごとにシールドのエネルギーが減っていく」というところだろうか?SFやファンタジーには導入しやすい設定だが、現代物では厳しいな。考え方のブレイクスルーが必要なようだ。