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苦手なマンガ

by 唐草 [2021/05/15]



 Webマンガ隆盛のおかげで、さまざまなマンガを読む機会に恵まれている。出版社や作者、ジャンルといった従来マンガを区別するのに使われていた垣根は、もはや存在しない。気の赴くままにマンガが読める。
 ぼくも紙で読んでいた頃よりずっと幅広く作品に触れている。無料で読んで気に入ったので単行本を購入したマンガもあれば、無料だから惰性で読んでいる作品もある。その一方で初回切りしてしまった作品も少なくない。連載を追っているのは、今使っているアプリで読めるものの半分ぐらい。読みたいマンガの連載が終わってしまってアンインストールしたアプリもある。
 多くの作品に触れられるのは、楽しいマンガに出会う機会が増えただけではなかった。自分の好みでないマンガが世の中にはこんなにも沢山あるんだという影の部分の発見にもつながった。
 選り好みせず多くのマンガを読んだことで、かえって自分の好み傾向が分かってきた。絵柄の好き嫌い以上にぼくが苦手としている要素がある。
 それが芸術をテーマに据えたマンガ。ここで言う芸術は、絵画やイラストなどの平面作品だけでなく、服飾や建築といった立体物から音楽も含む。そういうマンガを読んでいるとモヤモヤした気分になってくるし、読み終えても面白かったと感じることが滅多に無い。なかでもマンガをテーマにしたマンガは虫酸が走るほど嫌い。最近ではマンガがテーマだと分かった瞬間に読むのを辞めてしまう。
 なんでこんなに嫌っているのだろうか?
 芸術をテーマにした作品の多くが、凡庸な作品しか作れない主人公が同世代の天才に憧れ奮闘するという流れ。この王道展開を嫌っているわけではない。そうではなくて、天才に憧れる作者の自己投影が鼻につく感じが鼻持ちならない。追いつく努力や差を知る絶望ではなく、崇拝という感情しか伝わってこない。それってSNSで絵のうまい人をフォローしているというの同じ。とても薄っぺらい。
 あと凡人には天才を描けないというジレンマもある。描かれる憧れがとてもチープに見えてしまうのも良くないのだろう。
 そんなわけで、ここのところ芸術をテーマにしたマンガを避けている。もちろん面白い作品もあるんだけど、ぼくの中ではハズレの多いジャンルという位置づけ。