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桁違いの強さ

by 唐草 [2021/05/25]



 オンラインゲームの楽しみの1つに廃人との邂逅がある。絶対に超えられない壁となってぼくの行く手を阻むこともあれば、最高に頼もしい相棒となって活路を切り開いてくれることもある。
 ぼくもハマったゲームは結構やり込むタイプの人間のつもりだが、上を見たらキリがない。廃人たちの熾烈で華麗なプレーを見ていると、自分なんて強くもなく弱くもない偏差値50程度のありふれたプレーヤーでしかないんだということを痛感させられる。
 先日、とある協力型のRPGでマッチングしたプレーヤーは攻撃力3200・守備力1050と表示されていた。彼よりレベルが20高かったぼくは、攻撃力600・守備力450だった。まさに桁違い。すべての敵を一撃で倒していくさまは、電光石火と呼ぶに相応しかった。
 今日、とあるバトルロイヤルゲームで最高の防具を装備していたぼくを2発のヘッドショットで瞬殺したプレーヤーは、レベル525だった。撃ち抜かれたぼくはレベル53。レベルが10倍違うというのはどういうことかまざまざと見せつけられた。
 これまで様々なオンラインゲームで遊んできたが、そのいずれでも目を疑うような数値を引っさげた猛者たちがいたものだ。圧倒的な時間を費やしその境地に達したのだろうと想像できるものもあるが、どうやったらそのスコアを達成できるのかすら理解できない場合もあった。
 今のゲームはさまざまな遊び方で楽しめる。自分がもっとも楽しいと感じる遊び方をすればいい。これを裏返して考えてみれば、同じゲームを遊んでいても自分とはぜんぜん違う楽しみ方をしている人がいるということでもある。将棋を目の前にして真剣に将棋を指す人もいれば、ぼくのように駒を立てて並べては倒す将棋倒しを楽しむ人もいるということだ。
 だから廃人たちを悪く言うつもりはない。彼らなりの努力をしていることには一定の敬意を払うべきだろう。とは言え、その圧倒的スコアに憧れるかと聞かれたらぼくは黙って首を横に振る。少しの嫉妬と圧倒的な呆れというのが率直な感想である。