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リフトアップ

by 唐草 [2021/05/29]



 自宅の仕事部屋で机に向かっていたら、急に仕事がしにくいような気がした。仕事も部屋もいつもどおりなのに前触れもなく日常に違和感を覚えてしまった。
 この違和感はどこから来ているのだろう?座り方を変えたり、キーボードの位置を動かしたりして違和感の正体を探ってみた。10年近く机やモニターの配置どころか、椅子の高さすら変えていない。それなのに違和感を覚えたというのは、机まわりの何かが変わったのではなくて自分の感じ方が変わってしまったのだろう。
 この手の違和感は、自分の中に原因があるので対処が難しい。ある種の呪い、それも自分で自分を呪うようなものだ。原因だと思えるスケープゴートを見つけるまで、ずっと集中力を乱し続けることになる。
 あれこれ探って、違和感の正体はモニターの高さだと結論づけた。ぼくの机で調整できるものがモニターぐらいしかないので、心の安寧のために原因をモニターへ押し付けたというのが真相だ。それでも職場のPCに比べるとモニター位置が低いのは事実。とは言え、この1年は職場より家で働く時間のほうがずっと多かった。それなのに急に職場が恋しくなったのだろうか?自分のことなのに全然わからない。
 素人が自己分析したところで得られるものなど無いに等しい。それよりもモニターを高くして落ち着きを取り戻すほうが賢明だ。
 高さを変えようとモニターの脚を押したがびくともしなかった。押してダメなら引いてみろの精神で逆方向に押しても微動だにしない。これ以上力を込めると壊れそうなので説明書を確認してみたところ、今の高さが最高だということが判明した。どうしよう。あと1cmでいいから高くしたいのに。何もかもが思い通りに進まない。
 違和感を拭い去るためならば背は腹に変えられない。見た目が悪くなるのを我慢してモニターの下に板を挟むことにした。これで高さはバッチリだ。
 さあ、これで準備万端。仕事再開だ。と思ったのだが、モニターを見る首の角度が変わったのでなんか肩がこるような気がする。違和感の正体は間違いなくぼくの心の中にあるようだ。この様子じゃ落ち着くまでは何をしても焼け石に水だな。