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限界を見極める

by 唐草 [2021/07/05]



 コロナの1年でマスクに対する考え方は大きく変わった。コロナウイルスから身を守るため一年中身につける存在になったのも大きいけれど、ぼくは別の変化に着目している。マスクの使い方の変化だ。
 コロナ流行前、マスクは使い捨てというのが常識だった。長く使ってもせいぜい丸一日。だが、昨年のマスク不足問題で価格が10倍ぐらいに高騰して以来、マスクの使い方は大きく変わった。洗って何度も使うのが、新しい生活様式として定着した。
 それまで不織布マスクを洗ってもう一度使おうなんて考えたこともなかった。マスクなんて紙コップや割り箸と同じで使い捨てだと思いこんでいた。実際に洗ってみたら特に問題もなく使い回せたのは、新鮮な驚きさえあった。
 マスク不足が解消した今でも、ぼくは不織布マスクを洗って何度も使っている。帰宅したら、うがい手洗いに加えてマスク洗いというのがぼくのスタイルとなった。
 しかし、不織布マスクは洗うことを想定していない。数度洗うと、マスク面が毛羽立ちゴム紐が伸びてしまう。だから、出勤するときに使うマスクの再利用は4回までとマイルールを定めている。
 とは言え、4回洗うとマスクが機能を失うわけではない。身につけたときの息苦しさから察する限り遮蔽効果は残っている。では、丁寧に洗えば何度までマスクを再利用できるのだろうか?1度ぐらい限界までマスクを使ってみたい。そんな好奇心が芽生えてしまった。
 この好奇心の根底にあるのはケチさだろうか?それとも限りある資源を有効活用していこうというサステイナブルな志だろうか?
 体を張って実験してみた。近所を出歩くとき用のマスクを何度も洗って使いまわした。さらに毛羽立ってきて肌触りは着古したセーターのようだし、ゴム紐はぼくの顔サイズに伸びて緩くなった。
 マスク面が破れるのが先かゴムが切れるのが先か?と思っていたのだが、ぜんぜん違うところが壊れてダメになった。なんと鼻の形に沿うように入れてある柔らかいプラスチックの棒がマスクを突き破ったのだ。
 20回ぐらいの洗浄の末、予想もしていない壊れ方でマスクはその最期を迎えた。