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自由意志

by 唐草 [2021/07/06]



 この1年で生活様式の多くが激変した。何が変わったかを数え上げていったらきりがない。どれだけの変化を経験してきたかを理解したいのであれば、何が変わっていないかを数えたほうが早いだろう。
 変化の中には、すでに日常として違和感なく受け入れているものもある。マスク着用や手指消毒なんかが、それにあたる。今では、コロナ前はあまりにも無頓着で不潔だったんじゃないかとさえ思える。
 食生活の変化もほぼ受け入れられた。この1年半、一度も外食をしていない。ぼくは元からほとんど外食をしていなかったので、変化をすんなりと受け入れられたほうだろう。それでも社食が閉鎖になってしまったので、出勤したときの食事はまったく別物になっている。今では、コンビニやスーパーで買うお弁当がお昼を支えている。
 曜日によって勤務形態が異なるので、毎日のお昼のスタイルは様々。午前中で仕事が片付く火曜日は、ちょっとしたプチ贅沢を楽しんでいる。ちょっと良いお店に寄って、普段食べないようなエスニックなお弁当を買うのが今のブームだ。
 毎週、今日は何を食べようかな?とワクワクしながら品定めをしている。お気に入りの定番を買ってもいいし、聞いたこともない名前の料理にチャレンジするのも楽しい。こういう食の冒険は、定食中心の社食ではできない経験。コロナで出かけられなくなったので、お弁当で世界を巡っているような感覚さえある。
 楽しくお弁当選びをしているときに、ふと気になったことがある。
 ぼくは本当に自由意志でお弁当をチョイスしているのだろうか?陳列されたたくさんのお弁当を見てワクワクした気持ちが、ぼくを突き動かしているというのは錯覚なのではないか?ぼくは何に耳を傾けお弁当を手に取っているのだろう。
 食への好奇心?胃袋の叫び声?いや違う、値引きシールの魔力だ。
 ぼくがお弁当を選んでいるのではない。20% OFFシールに選ばされているのだ。楽しいエスニックお弁当タイムにぼくの自由意志なんてものは存在していなかった。