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集団プラセボ

by 唐草 [2021/09/22]



 先日、頭痛に効く曲のことを書いた。その曲のファンを考えると効能なんて真っ赤な嘘で、ネットミームとして「効果がある」と語られているだけに過ぎないだろうと結論づけた。要するに嘘だとバッサリと切り捨てたということ。
 ぼくは時々頭痛薬に頼ることがあるので、頭痛になったら薬を飲む前にネットの向こうの誰かの嘘に付き合ってやるかと考えていた。もちろん効かないことを証明するための実験だ。ところが、いざ自分の体で実験をしてみようと思うと不思議と頭痛にならない。そんな訳で、嘘くさい効能に白黒つけられずにいる。
 ひょっとして前に聞いたときの効果がまだ残っていて、頭痛を予防してくれているのではないか?こういう考え方もできるかもしれないが、ぼくはそこまでご都合主義じゃない。
 だが、頭痛に効くという話を一笑に付して嘘だと即断したのは、ちょっと早まった結論だったかもしれないと思い直しつつある。
 SNSでコロナワクチンを打ったのに副反応が一切でないので逆に不安になるという話を目にしたときにあることを思い出した。偽薬効果(プラセボ)だ。
 もしかしたら頭痛に効くとされる曲は、ファンがまことしやかに効果があると騒ぐことで強烈な偽薬効果を生んでしまったのかもしれない。頭痛は、切り傷や打ち身といった外傷と違って自分の目で確認することはできない。多くの場合、頭の中の血流が痛みの引き金になっている。
 だから「これは効くはずだ」と信じて曲を聞けば、頭痛への不安を忘れて血圧が下がって痛みが減っても不思議ではない。催眠効果がありそうな変わった曲だしなぁ。
 実際の効能はゼロだとしても過半数以上を偽薬効果へと導ける方法が本当に存在するのなら、それは効能があると言っても差し支えないのではないだろうか?頭痛を緩和する音楽的な効果が皆無だということが揺るぎない事実だとしても、それが頭痛を緩和できることの否定ではない。
 病は気からとも言う。事実、偽薬効果の研究も盛んだ。近い将来、究極の万能薬が生まれたらそれは偽薬かもしれない。