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ペンギンの群れ

by 唐草 [2021/09/28]



 昨年突如発表されたcentosの運営方針変更は業界に大きな衝撃を与えた。centosは数あるLinuxの中でも業務用途で人気だった。それはエンタープライズ分野で最大手のRed Hat Linuxの完全な無償クローンだったから。正規にRed Hatを買えばお高いライセンス料が必要になるけれど、centosならサポートが無い代わりに完全無料になる。
 こんな美味い話があるのかと疑いたくなるが、これがオープンソースの良いところ。だから大手企業からぼくのようなフリーランスまで多くの人々が、無料という甘い餌に群がる蟻のようにcentosを利用してきた。とは言え、これはRed Hatにとってはいい迷惑。方針転換もやむなしである。
 centosがなくなったことで、既存の利用者は代替OSを見つけなければならなかった。ぼくは違う宗派のubuntuへと鞍替えをした。だが、全員がぼくと同じ選択をしたわけではない。その結果、centosを中心にまとまっていたコミュニティは瓦解したように見えた。コミュニティの崩壊は大きな損失だ。Linuxの問題解決を検索するとcentosでの対応策が山ほど出てくる。ところが、無償OSを核に成長してきた集合知の多くが役に立たない情報に成り下がってしまった。
 そんな状況を打破して以前の輝きを取り戻そうと立ち上がった人たちもいる。Red Hatの息のかかっていないところで、もう一度クローンを作ろうというのだ。
 このアプローチは高く評価したい。でも、問題もある。同じことを考えた人がたくさんいることだ。その結果、Red Hatのクローンは主要なものだけでも3つもできてしまった。
 散り散りになったコミュニティーは、その3つを中心に再結成を始めている。とは言え、centosの頃の勢いは感じられない(まだ日本語が少ないだけ?)。
 昨年からの一連の騒動を見ていると、無償に群がる卑しいペンギンたちが右往左往して、集まったり、喧嘩したり、企業にツバを吐いたりしているだけにも見える。大きな旗印がないとなかなか前に進まない。未来の勝者は誰になるのだろう?勝ち馬に乗るための様子見が続く。