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さよならハンチング

by 唐草 [2021/10/02]



 昨日、久々に愛用のハンチング帽を被って家を出た。ぼくは帽子好きなので一年中なんらかの帽子を頭に乗せている。夏場は麦わら帽子のような天然素材の軽いものを選ぶことが多い。このハンチングは割と厚手なので暑い間は被らない。逆に言えば、これを選ぶということは季節が進んで秋が近づいた証拠。
 購入してすでに10年ぐらい経っているので、友人なんかはぼくのトレードマークと考えている。違う帽子を被っていると「今日は本体がいない」と言われたりもする。魚に詳しい有名人と同じような扱いだ。
 3ヶ月ぐらいぶりにハンチングをかぶると、まるでぼくの頭に合わせて作ったかのようなフィット感が気持ちいい。既製品なのに奇跡的にぼくの頭のサイズにピッタリ。友人の弁ではないが、あるべき自分の形に戻ったかのようにするら感じる。
 目的地について帽子をとったとき、とんでもないものを見つけてしまった。夏の間、きちんと手入れをせずにただ吊るしていたので内側にカビが生えていた。皮脂を糧に台風がもたらした湿度で成長したのかもしれない。汚いし、布も痛む。一刻も早く洗わねば!
 と言うわけで、台風一過のもたらした青空を活用すべく今日帽子を洗うことにした。帽子洗いは、面倒だけど手洗いが欠かせない。洗面台にお湯を張って、適量の2倍ぐらいの洗剤を投入。古い布を傷めないように丁寧に手もみ洗いをしていった。
 予想以上に汚れていたので、つい力を入れすぎてしまった。
 その瞬間、帽子の頂点が避けてしまった。
 慌てて泡だらけの洗面台から引き上げるも、目の迷いではなく親指大の大きな穴が空いていた。裂けたところを見ると、向こうが透けそうなぐらいに布が痩せていた。これなら裂けるのは時間の問題だっただろう。むしろ、穴に気が付かず被って恥ずかしい姿を他人に晒すことを避けられたのは幸運だったのかもしれない。
 帽子の方から「もう限界だよ」と伝えてくれたようにすら思える。愛用すること約10年。寂しくはあるが、同時に使い尽くしたという満足感もある。次もこんな良い帽子に出会えることを願う。

※今日の画像は別の帽子