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対訳表

by 唐草 [2021/10/07]



 最近のゲームは、ストーリーが長くて複雑で、登場人物も両手の指では足りないぐらい出てくる。メインシナリオを忘れるような存在感のあるサイドクエストも多い。ボリューム満点なのは歓迎だが、ぼくの貧弱なオツムだと肝心のメインストーリがよく分からなくなってしまうことも少なくない。
 だから、2周目にしてようやく意味がわかるなんてことも珍しくない。昨今のゲームには、攻略サイトだけでなく考察サイトがあるのにも頷ける。
 ここのところ『Skyrim』の2周目を遊んでいる。世界観への理解が進んだ状態でプレーしているので、五里霧中だった1周目よりも人間関係や歴史を理解しながらシナリオを進められている。それでも100%の理解には程遠い。よく分からない言葉やセリフが、ぼくを苦しめる。
 理解が進まない原因の1つに翻訳が挙げられる。『Skyrim』の日本語訳は、多くの問題を問題をはらんでいる。
 莫大なテキストを訳すために何人かで翻訳を行っている。そのため訳者ごとに固有名詞のカタカナ表記が異なっていたり、和訳可能な固有名詞を訳したり訳さなかったりがマチマチ。同じキャラの名前が、シーンによって異なっていたりする。人海戦術の弊害だ。
 また翻訳の専門家ではないのか、英語の皮肉や韻を踏んだ表現などが訳されていないことも多いとも指摘されている。街の兵士がつぶやく「何なんだ?ドラゴン?」を筆頭に意味不明なセリフが、至るところに散らばっている。ちなみにこれは"What is it? Dragons?"の訳なので間違ってはいないが、場面を考えると「何の用だ?ドラゴン(が現れたの)か?」とするのが適切らしい。
 テキストだけで翻訳を進めるとこういうチグハグなことが起こるのも仕方ない。ぼくもローカライズに携わったことがあるので、その苦労はよく分かるし、同情もする。それでも、目をつぶるにはあまりにも誤訳が多すぎる。
 おかげでセリフをそのまま受け取って良いのかを常に考え続けることになる。ただでさえ複雑な設定が、誤訳への疑いのせいで曇って見えてしまう。3周目の『Skyrim』を遊ぶ機会があれば、対訳表を用意したい。