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200MBってこのぐらい

by 唐草 [2021/10/29]



 重要なものを鞄に入れ忘れたまま家を出てしまった。それは財布でもなければ、現代人のライフラインであるスマホでもない。
 忘れたのは紙の雑誌。
 ぼくにとって雑誌は、通勤の暇つぶしという重要な役目を担っている。本を開けば、一瞬にして退屈な通勤電車から見知らぬ世界へと旅立てる。きっと本を読んでいるぼくは、見たこともない写真や初めて知る知識に目を輝かせているのだろう。おかげで代わり映えしない通勤時間が、娯楽の時間であり、同時に勉強の時間にもなっている。
 暇を潰す手段は他にもある。スマホがあれば無限の可能性が広がっているように思える。でも、スマホを通してアクセスする先はそう多くない。お気に入りのサイトを巡回する程度。そこで目にするのは見知らぬ誰かの他愛ないつぶやきぐらい。何かを得ることなんて無い。だからと言って、積極的に見知らぬ情報や価値あるニュースを得ようとまだ見ぬネットの海へと漕ぎ出す気力はない。
 結局、暇つぶしなんて受動的な行動以外とれないのだ。
 そう考えると雑誌は優秀だ。ページを捲るだけで普段とは違う情報が次々に飛び込んでくる。
 でも、今日はスマホしか無い。ゲーム情報を眺めるぐらいしかできない。得るものはないけれど、ホームに突っ立って代わり映えのしない風景を見ているよりはマシ。と言うわけで、ダラダラとスマホをいじっていた。電車が来てもいじり続けていた。
 しばらくしたらスマホに警告が表示された。今日の通信量が200MBを超えたと書かれている。
 そうだった、在宅ワークが増えたので毎月の通信契約を小さくしたのに合わせて、スマホの設定を変えたんだった。1日200MB制限。もちろん自主的な制限なので無視しても平気。でも、毎日200MB使っていると1ヶ月の制限を超えてしまう。
 制限にぶつかって初めて気がついたのが、今のネットを見るに200MBは少なすぎる。30分ぐらいで200Mを超えた。しかも通信の大半は、広告の画像や映像だったと思う。ぼくはお金を払って広告を見ているのか。紙面が広告に埋め尽くされている新聞のことを笑えないな。