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テレビ見てない

by 唐草 [2022/01/04]



 新年早々、うざい発言をしたい。
 「最近テレビを見てない」
 これって「寝てない」と「流行り物に手を出してない」に並ぶ3大「~してない」系自慢だろう。発言内容に攻撃性はない。それなのにイラッとするのは、発言者の口調や態度にある。にじみ出る「忙しい自分」に酔っている様が、聞く人を不快にさせる。
 「テレビを見てない」と書くだけでは、ぼくがどのような態度なのかを伝えるのは難しい。自慢だと捉えられても仕方ない。でも、発言の真意は別のところにある。自慢とは真逆で、自分が世間から置き去りにされていることを自覚したという話なのだ。
 元日、家族とテレビを見ていた。そして2つのことに驚き、自分がいかにテレビから遠ざかっていたかを自覚した。
 まずはCMの多さ。最近はアマプラでしか動画を見ていないので、十数分おきにCMが挟まるという体験が久々だった。それは不快な驚き。無償で映像を見るためには、これほど多くのCMをスキップせずに見なければならないのかと愕然とした。こんなにCMが挟まったら番組の内容なんて忘れてしまいそうだ。
 もうひとつの驚きは、どのCMも初めて見るものだったということ。新春特別CMもあったかもしれないが、お正月らしさを感じないCMすら見た記憶がなかった。これもいかに民放から遠ざかっていたかの揺るがぬ証拠。
 テレビから遠ざかっても、ネットがあれば娯楽もニュースも困らない。だからテレビを見る必要なんてない。と自分自身を肯定することもできるだろう。でも、そういう気分にはなれなかった。CMから遠ざかっていたことで、世間で何が流行っている、あるいは流行らせようとしているのかが全然わからなくなっていることに気づいた。置いてきぼりを食らったような気分だけが残った。
 テレビだけじゃない。スマホにアドブロックを導入しているのでネット広告の動向も全然分かっていない。今のぼくは世間の平均からだいぶ離れていそう。人はこんな感じで「自分だけは正しく世間を把握できている」という客観性を失った自己認識に陥るんだろうな。