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漢方のど飴

by 唐草 [2022/01/05]



 ぼくは科学を信奉している。科学の信者と呼んでもらっても構わない。科学の魅力はなんと言っても再現性だ。手順さえ分かれば、生まれながらに神通力を手にした偉い教祖様でなくても奇跡を何度でも起こせる。修行しなくてもインターネットは使えるし、信じていなくても薬は効果を発揮する。
 そんなぼくからすると世間には胡散臭いものが溢れているし、科学のメソッドを曲解した似非科学も横行している。宇宙人がどうのこうのみたいな話題は笑って楽しめるが、人の生死や健康に関わることを目にすると閉口してしまう。
 厄介なのが、漢方薬などの天然由来の薬。ちゃんと効果が確認されているものもたくさんあるけれど、希少性だけを尊んでありがたがられているものもある。特に薬は偽薬効果があるので真贋が分かりにくい。専門家でもなければ、天然生薬の有効性なんて判断できない。
 そういうあやふやなものを目の前にしたとき、どう扱うべきなのだろうか?予断せずにひとつひとつ手に取り繰り返し実験を重ねて真贋を判断してくのが、真に科学的なアプローチだろう。でも、せっかちなぼくにそんなことはできない。判断が面倒なので、オール・オア・ナッシングで疑わしい要素が少しでもあれば個々の判断を放棄してバッサリ切るのがぼくのやり方。だから、病院で処方でもされない限り漢方薬を手に取ることはなかった。
 でも、この3年ぐらい1つだけ頼っている漢方薬がある。騙されたと思ったら激烈に効いてしまったのだ。それがパンダマークのノド飴。小さな飴を一粒舐めるだけで、翌日にはノド痛がほぼ消える。ハッカの清涼感で麻痺させるのではなく、根本から治療してくれる感じ。遅効性とは言え、いつだって確実な効果がある。
 ただ問題もある。びっくりするほどまずいのだ。レモン味と書かれているが、酸味を感じる味蕾を刺激するだけという感じ。柑橘の爽やかさは皆無。しかも、その酸味は苦さを隠すためのカモフラージュでしかない。
 サルミアッキの次ぐらいに不味い飴だが、効果を期待してまた頼ってしまう。良薬口に苦しとは言うけれど、限度ってものがある。