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バリア体感

by 唐草 [2022/03/02]



 左手の親指の先を薄く削いで以来、日々のちょっとしたことに不自由を感じている。面積にして1cm2程度の小さなキズなのに場所が場所だけに何気ない行動のあちこちでぼくを悩ませている。もし同じ傷が足だったらこんなにも煩わされることはなかっただろう。もっとも調理中の不注意で足を切るなんてことは、まず無いが。
 傷を徹底的に保護しているせいか、痛みは大したことがないのは幸いだ。紙で切ったようなヒリヒリが四六時中指先全体に広がっているような感じ。なにかの拍子でズキッと痛むこともある。絆創膏の下で巨大なかさぶたが形成されつつあるだろうから、柔らかい部分と硬い部分の伸縮の違いがズキッとした痛みと自分の体では無いような違和感を生んでいるのかもしれない。
 キーボードを打つのに大きな支障はないのはラッキーだった。時々ビリっと電気が走るようなこともがあるが、仕事に大きな支障は出ていない。
 1週間近く青いゴム手袋をし続けたところ、ゴム手袋は体の一部になりつつある。左手が青いのは見慣れたし、手袋をしているという感覚もなくなった。青いゴムはもうぼくの皮膚の一部になっている。
 それでも、ふとした瞬間に思いもよらないことで親指の先を使えない不便さを思い知らされる。身近なことだと洋服のボタンを留め外しが挙がる。右袖のカフスボタンを親指を使わずに留めるのは至難の業だ。
 左手の怪我でこれだけの不便をしている。もし怪我が右手だったらぼくの日常は破綻していたかもしれない。
 この怪我で一番影響を受けているのは、なんと言ってもゲーム。さすがのぼくもゲーム時間が激減している。親指が使えないとスティックを操作できないからだ。
 だが、ぼくはゲームをしないと死んでも不思議はないほどの重度ゲーム依存症。親指の怪我程度ではコントローラーを置く気はない。親指の付け根でスティックを操作する不思議なコントローラーの握り方を編み出し、ぎこちないながらもゲームプレーを実現している。
 そんな無理しているから、なかなか傷が治らないんじゃないのか?