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隠れ猫を探す

by 唐草 [2022/03/12]



 我が家には多くのPCが転がっている。滅多に電源を入れない現役を退いたものもあるが、多くは実験や開発のために稼働している。そんな環境になったのは、趣味が高じたせいか、職業的な必然なのかは判然としない。
 稼働するPCが多くあるということは、多くのケーブルが部屋を這いずり回っているということを意味する。電源、LAN、映像、USBと様々なケーブルが無秩序に絡まってモノクロームなプラスチックジャングルを形成している。そんなケーブルジャングルの中に1本だけ目を引く水色のケーブルがある。5mのLANケーブルだ。
 明るい水色は、Appleと無印良品の製品が多く色に乏しいぼくの部屋ではよく目立つ。視認性の良さを活かして、ネットワーク設定するときの一時的なケーブルとして使っている。この色なら常設の黒や白のケーブルに混ざっても、どれが作業中のケーブルかすぐに判る。ネットワーク設定というデジタルな作業なのに、ぼくの目印は驚くほど原始的。
 PCを組んだときも、VPNの実験をしたときも水色LANケーブルを使っていた。巻いて収納することが多いので癖がついてウネウネしているだけで通信に問題なし。コネクタの爪が折れていない。まだまだ活躍の機会はありそうだ。
 と思っていたのだけれども、ケーブル被膜に印字された文字を読んで驚いた。
 CAT5と書かれていた。
 CAT5は、今の標準規格の1/10のスピードでしか通信できない25年ぐらい前の規格。まさかそんな古いケーブルを使っていたなんて夢にも思っていなかった。新しい機器をテストしては「新製品は速いな」と思っていたけれど、実際には期待の1/10の速度しか出ていなかったことになる。速いと感じたのは、ぼくの思い込み。偽薬効果みたいなものだったようだ。
 我が家を這う十数本のLANケーブルの中には、他にも古いCAT5が隠れているかもしれない。一本一本確認しなくちゃならないかと思うとうんざりだ。「今日も快調にギガビット通信だ」と自分を騙して現実から目をそらした方が楽かもしれない。今日まで問題を意識することはなかったんだし。