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春宵の風

by 唐草 [2022/03/27]



 気温が20℃を超えると体も心も楽だ。重く厚いコートも要らないし、暖房のために部屋を閉め切る必要もない。軽い装いに身を包み、窓を開けて風に身を任せる。猫も外の空気を味わおうとしているのか開けた窓から外を覗いている。
 機密の良い部屋、高性能の断熱材、そして優秀なエアコン。これら文明の成果は、ぼくらを自然の冬の厳しさから遠ざけてくれる。そんな最先端の快適さでも、春の気持ちよさには遠く及ばない。
 春の陽気は気まぐれだが、今日の暖かさは日が沈んでからも残っている。窓を閉めていると少し暑く感じるほどに部屋は温まっている。昼間の暖かい空気が、干した布団のようにぼくの部屋に残っているのだろう。
 それにしても、汗ばむほどの暖かさというのは驚きだ。むしろ昼間より暖かいと感じるほどだ。日が沈んでもなお暖気を含んだ南風が街を暖めているのだろうか?アメダスを見ると気温は15℃程度となっている。3月下旬の宵にしては暖かいけれど、暑さを覚えるほどではない。
 一方、ぼくの部屋の温度計を見ると24℃を指していた。今日の最高気温より高いじゃないか!いったい何が起きているんだ?
 そっと耳をすませば、すぐにぼくの部屋を暖めるものの正体が明らかになる。
 PCのグラフィックカードが、サーキュレーターのように勢いよく風を吹き出している。そっと手を近づけると暖房運転のエアコンのような温風を吹き出していた。
 最高画質でゲームを遊ぶとこういうことになるのか。先日までは気温が低かったのでファンの回転も低かったし、幸運にも排気がちょうど暖房代わりになっていたのだろう。だから排気音も排気温も気にしていなかった。そんな好都合な環境は、南からの暖かい風が吹き飛ばしてしまった。
 タスクマネージャーを確認するとGPU稼働率が90%を超えている。4K対応の性能を持っているとは言え、最高画質設定の2Kでもこうなってしまうのか。中程度の画質でも十分なので、排気でのぼせ上がる前に設定を落とそう。
 3月でこれもんだ。真夏になったら大変なことになりそうだな。