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机の上の混沌

by 唐草 [2022/04/23]



 机の上が、きたない。ここ数ヶ月ずっとそう感じている。
 食べカスがこぼれていたり、空のペットボトルや丸まったティッシュが散乱しているわけではない。机の上にあるのは仕事に欠かせないものだけ。「汚い」と漢字表記しなかったところがポイントだ。
 ミニマリストな素養を内に秘めるぼくにとって「きたない」というのは、情報量が多い状態を指す。なにもないのが情報量0で、物が増えていくに従って情報量も増えていくというイメージ。そして、ものが不規則に並んでいるとより情報量が多いとみなす。エントロピーとほぼ一緒だ。
 ぼくは情報量0を目指しているわけではない。部屋に何もないことを是とする過激なミニマリストのことは、心底愚かだと思っている。目指しているのは、同じ快適さをより少ない情報量で実現すること。
 家具の色合いを統一するのが基本。本の高さを揃えるとか、箱のラベルが見えないようにしまうといった細かいことで不規則さを減らす努力をしている。
 残念なことに、努力も虚しく仕事机だけは混沌を極めている。
 モニターもキーボードもケーブルも黒系統に統一している。付箋を貼ることもない。読みかけの本もなければ、飲み終えたマグカップだってない。無味乾燥な雰囲気を一掃するためにぬいぐるみを置いているが、それだってペンギンとシロクマ。色味だけなら完全にモノトーン。
 それなのに雑然とした印象に支配されている。
 原因は、机の上を這う大量のケーブル。数えてみたら9本ものケーブルが不規則に机の上を這っていた。目につかないように端の方に寄せているものもあるが、繋ぎ変えることも多いので気づけばドンドン前面に出てきてしまう。そして次第に絡まっていく。
 こうして不規則さを増して、情報量はうなぎ登りに増えていく。これがぼくの机が雑然と見える原因だ。
 ケーブルを減らすためにもっと無線機器を利用するべきなのかもしれないが、ぼくは熱烈な有線信者。無線は受け入れられない。でも、ケーブルの煩さに辟易している。
 自分の中の2つの思想が、ぼくを板挟みにする。その混乱が映し出されているのが、この机なのだろう。