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丸い傷跡

by 唐草 [2022/05/19]



 2月末に切った左手の親指の先。2ヶ月経ったけれど、なんとなく跡が残っている。指先をよく見ると直径6mmくらいの輪っかがある。この丸い傷跡のポイントは「環」であること。そう、継ぎ目のない円なのだ。
 つまり、1回は完全に切断されたものが、くっついたということ。もし少しでも肉が繋がっていれば傷跡は環ではなくCの字型、環に呼応する言い方をするのであれば「玦(けつ)」になっていたはず。
 そう思うと、我ながらうまくくっつけられたものだと感心してしまう。2週間に渡って一度も剥がさず絆創膏を貼り続け、幹部保護のためにゴム手袋をはめていたのは適切な措置だったようだ。絆創膏を剥がしたときに「過保護すぎたのでは無いか?」と思えたのも無事に傷が塞がったからこその感想だ。
 見た目にはつながったように見える傷跡だが、完全に元通りという訳ではない。残念なことに、ちょっとした拍子に痛むことがある。指先をぶつけてしまったときに痛むこともあれば、なにもないのに痛むこともある。そうかと思えば、ぶつけてもなんとも無いこともある。なので過保護に親指を守っても意味はない。
 これが、いわゆる古傷が疼くというヤツなのだろう。最近では微弱な気圧変化の影響を受けているという説もあるようだが、正直なところ外的な因果は感じない。
 だとすれば、ぼくの指先で何が起きているのだろう?
 神経が少しズレてつながってしまったのだろうか?それとも、実はまだちゃんとつながっていなかったりするのだろうか?
 指先をグリグリ押しても傷跡が動く様子はないので、さすがにつながっていないということはなさそうだ。でも、指先の皮がめくれるようなことになったら、ポロッと肉が剥がれ落ちてしまいそうな気がしてならない。
 小さな痛みの原因は、ちょっとした神経の誤動作のようなもので間違いないはず。そうだと分かっていても、なんとなく不安な気分が拭えない。
 そう言えば、傷跡をよく見ると環の中だけ指紋の向きが違う。やっぱり、正しくない角度で癒着しちゃったのかな。まぁ、いいや、血はちゃんと流れているみたいだし。