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甘くてしょっぱい

by 唐草 [2022/07/17]



 甘いおやつを食べたくなったので菓子パンを買いにコンビニへ向かった。
 ぼくは大の甘党。甘いものだけにはこだわりがある。それなのに安易にコンビニで甘味を買うなんてこだわりも感じられないかもしれない。でも、違うんだ。
 このときは、ジャンクでチープな甘みをガツンと摂取したい気分だった。羊羹では濃すぎるし、和のテイストは求めていない。有名パティシエが作ったケーキのように気取ったものでは物足りない。どれだけ体に悪いかを力説されればされるほど、それを手に取りたくなるような気分だった。お昼にハンバーガーが無性に食べたいときの3時のおやつ版だと思ってほしい。
 そんなときはコンビニの菓子パンコーナーが一番。砂糖と油の塊を炭水化物で固めたものが安価に買える。この糖への渇望を満たせるのなら寿命を削ることなど惜しくもない。糖を我慢した長く薄い人生よりも砂糖壺で溺れて死ぬほうがマシだ。
 ぼくの目に止まったのは、フレンチトーストだった。そう言えば、久しくコンビニのフレンチトーストを食べていない。大好物のフレンチトーストは家で作ることも多いけれど、たまには買うのもいいだろう。
 ということで、おやつはフレンチトーストに決まった。
 家に戻ると飢えた獣のようにフレンチトーストにかぶりついた。口の中に広がる暴力的な甘さに酔いしれる。
 2口目を頬張った時、異変に気づいた。
 なんか、しょっぱいぞ。
 手にしたフレンチトーストをよく見ると、パンの間に厚切りのハムが挟まっていた。思わず目を疑ってしまった。フレンチトーストにハムだって?これは甘味への冒涜ではないか!?
 しかし、こういう品性を感じられない冒涜的な食材の組み合わせこそジャンク感あふれるコンビニ菓子パンの醍醐味でもある。そんな風に喜ぶ自分もいた。ぼくの脳は既に砂糖漬けで自己矛盾を抱えているようだ。
 ただ、正直言うと糖の甘味+肉の塩味の組み合わせってあまり好きではない。生ハムメロンは別々に食べたいし、ベーコンにハチミツをかけるのもイヤだ。許せるのはブルーチーズにハチミツぐらいまでかな。
 甘いものは単体で甘さを堪能したい。