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麦茶チャレンジ

by 唐草 [2022/09/02]



 以前にも書いたとおり、職場の入口には手首で体温を測る非接触型体温計が設置されている。これまでの利用経験からすると、汗ばんでいると気化熱で実際より0.5℃ぐらい低く表示されるようだ。精度に少し問題はあるが、一瞬で測れる利便性は何事にも代えがたい。
 この設置型体温計の面白いところは、次の人が測るまで前の測定結果が表示されたままになっていること。多くの場合、36.4℃ぐらいの「平熱」が表示されている。その数値に照らしてみると、ぼくの手首はだいぶ冷たいようだ。
 非接触型体温計にもさまざまな製品がある。優秀な機器だと顔認識と連動していて適切な位置に顔を向けないと測定が始まらないものもある。以前、そのタイプの体温計で測定ができず困っている人を見たことがある。機械は、なぜあの人の顔を認識しなかったのか不思議でならない。人には見えない何かが映っていたのだろうか?あるいはその逆か?
 そんなハイテクマシンに比べると職場の機器はシンプルだ。たぶん赤外線で対物距離を測定していて、一定以上近づいたら温度を測るのだろう。
 ということは、体温以外を測れるのではないだろうか?好奇心がムクムクと湧いてくる。
 今日、入館時のぼくの手には買ったばかりのペットボトル麦茶が握られていた。よく冷えたペットボトルの表面温度って何度なんだろう?稚拙な疑問がぼくを後押しする。
 右手で掴んだ太めのペットボトルをスッと体温計のセンサーに近づける。
 機械は何度と表示するのだろう?それとも計測エラーになって見たこともない警告を表示したり、聞いたこともない警告音を出すのだろうか?
 ワクワクしながら結果を待つ。その1秒にも満たない時間が長く感じる。
 機械は、いつもの「温度正常」の音声を再生せずに、ビービーと間の抜けた警告音を発しただけだった。液晶画面には24.4℃と表示されていた。
 数字を見たぼくは心の中で「もっと冷たいだろ!」と不満をこぼす。だが、その否定的な言葉とは裏腹に満足感に満ちていた。
 次の人が24.4℃という涼しい今日の気温と同じぐらいの数字を見てどう思うかと考えるだけでワクワクが止まらない。