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ピンとキリ、どっちがどっち?

by 唐草 [2022/10/16]



 何気なく使っているけれど正しく理解していない言葉がある。「ピンからキリまで」もそのひとつ。玉石混交な状態を指す際に「ピンからキリまで」と使う。でも、ぼくは重要なことを理解せずに使っている。
 「ピン」と「キリ」どちらが良いのかを知らない。
 知ったかぶりを続けても困ることはないだろう。でも、分からないままというのはスッキリしない。この機会に意味を調べてみた。
 その結果、恥ずかしくもぼくは見当違いな理解をしていたことが露呈した。
 ぼくは「ピン」と「キリ」をどちらも尖った突き刺す道具に由来すると思っていた。「ピン」は虫ピンのピンで画鋲やマチ針のように細く鋭く尖ったもの、「キリ」は木材に穴を開けるキリだと考えていた。だから、どちらが優れていて、どちらが劣っているのかで迷っていた。ピンのほうが細く鋭いので優れていそうな感じもするけれど、キリのほうが厚いものに突き刺せる力強さがあるので優れているように思える。
 このように尖った道具を想像してしまったのがすべての誤り。それどころか日本語でもなかったのだ。
 パンや金平糖と同じポルトガル語由来の南蛮語なのだ。
 「ピン」はポルトガルから伝来した南蛮カルトの1番札のことで、ポルトガル語で「点」を意味する”pinta”に由来するそうだ。トランプの1をエースと呼ぶのに似ている。「キリ」は最も数字の大きなカードの呼び名だそうだ。由来は諸説あるが、これもポルトガル語によるとする説もある。
 「ピンキリ」をトランプで表せば「エースからキングまで」となる。
 こう書けば、どちらが優れているかすぐに分かる。優れているのは、数字の大きいカードの「キリ」だ。
 あぁ、スッキリした。と思ったのだが、話はもっとややこしかった。
 「ピンキリ」という言葉ができた当初は大きい数字を示す「キリ」が優れている方だったのだが、江戸時代に意味の逆転が起こったそうだ。だから、近代以降は「ピン」が優れている方となっている。
 この言葉って使い勝手は良いけれど、何百年もどっちがどっちなのか分からぬまま使い続けられたってことなのかな?