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白と黒の使い分け

by 唐草 [2022/10/22]



 海外のピアニストが蝶ネクタイを身につけ演奏しているのをテレビで見た。日本で蝶ネクタイを見る機会なんて滅多にないし、あったとしてもコメディアンやピエロのカラフルでスパンコールを散りばめたド派手なものぐらい。フォーマルな場面で作法に則って首元を飾る蝶ネクタイなんてテレビや映画の中でしか見ることがない。
 ファストファッションブランドのH&Mで蝶ネクタイを売っているのを見たことがある。すでに結んであって首の後ろでフックを掛けて留めるだけのお手軽蝶ネクタイだったが、それでも蝶ネクタイを必要とする場面を想定している海外ブランドらしさを感じたものだ。ぼくにとってはH&Mでの出来事が人生史上もっとも蝶ネクタイに近づいた瞬間だった。
 きっとぼくが蝶ネクタイを身につけることは、これまでなかったように、これからもないだろう。それどころかフォーマルな装いに身を包んだ蝶ネクタイ紳士の横に立つことすらないだろう。
 だからといって国際意識の低い生活だと気に病む必要はない。欧米人の多くが袴を身に着けたこともなければ、袴を履いている人を生で見たことが無いのと同じ。
 蝶ネクタイについていろいろ考えていたら白い蝶ネクタイと黒い蝶ネクタイがあることを思い出した。この色の違いって何か意味があるのだろうか?日本で礼服を着る際は、慶事なら白ネクタイ、弔事なら黒ネクタイという使い分けがある。同じようなことが蝶ネクタイにもあるのだろうか?
 ぼくが見たピアニストは黒い蝶ネクタイでリサイタルのステージに上っていた。演奏は弔意を示しているようには見えなかった。きっとぼくが知らない使い分けがあるのだろう。
 調べたところ蝶ネクタイの白と黒の使い分けは単純だった。
 もっともフォーマルな燕尾服を身につけるときは白い蝶ネクタイ。くつろいだ場面でタキシードを着るときは黒い蝶ネクタイになるそうだ。蝶ネクタイが白ならオンで、黒ならオフということらしい。
 と言うかタキシードってオフの衣装扱いなのか。住む世界が違いすぎる。それと燕尾服ってどこに行けば買えるのだろう?異世界のことのように何も分からない。