カレンダー

2022/10
      
     

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

仮想世界の一等地

by 唐草 [2022/10/30]



 今年もハロウィンがやってきた。ぼくは小さい頃からちょっと悪そうな顔のジャック・オ・ランタンが大好きだった。それは今でも変わっていない。だから、この10年ぐらいで日本でもハロウィンが根付いたのを密かに喜んでいる。
 とは言え、引きこもりオタクの代表格みたいな陰キャのぼくはハロウィンの晩に仮装をして繁華街へ繰り出すようなことはしない。職場のサイトを独断でハロウィン仕様にするぐらいが関の山。
 そんなインドアなぼくにとっては、ゲーム内のハロウィンイベントがもっとも身近なハロウィン。今年も『Fallout 76』のハロウィンイベント攻略に躍起になっている。
 このゲーム内ハロウィンは、ぼくが遊んだことのあるどのゲームに収録されていたハロウィンイベントより現実のハロウィンに即している。拠点で飴を配ったり、仮装をして他の人の拠点に飴を取りに行くという内容である。これぞ正しいハロウィンの形だ。
 今年で2回目のゲーム内ハロウィンは、混乱と炎上の昨年と違って落ち着いて進んでいるようにも見える。しかし、その冷静さは図らずもゲーム内のプレーヤーごとの格差に気づいてしまうきっかけをもたらしてしまったようだ。
 ログイン30秒でデイリーミッションをクリアできる人もいれば、1時間ぐらいかかってもクリアできない人もいる。
 この違いの原因こそ格差なのだ。秒でクリアできる人にあってクリアできない人に無いのは、立地の良さと財力だ。立地の良い場所に拠点を設置すれば訪問者は増える。また、財力があれば拠点のバザーに良い品を並べて人を集めることもできる。そうすれば飴を配るチャンスは激増する。強者のみが乗れる好循環が格差を加速していく。現実社会で経済的自由主義が生み出した格差と同じものが、ゲーム内にも確かに存在しているのである。
 他のオンラインゲームでも好立地の場所を巡って札束で殴り合う戦いが繰り広げられていると聞いたことがある。眺めの良い場所やアクセスの良い場所は大人気らしい。仮想世界であっても現実の価値観を切り捨てることは難しいようだ。
 ゲームと同じ土地争いは、メタバースでも起きるんだろうな。