カレンダー

2024/03
     
2930
31      

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

机の下の魔物

by 唐草 [2022/11/03]



 最近、机の裏に磁石で留めているマルチタップがよく落ちる。電源アダプターのように重いものはつないでいない。購入して数年でマルチタップの磁石が弱くなったとも思えない。机の裏の金属棒が磁化して磁石の吸着力が落ちたなんてこともないだろう。
 原因がさっぱりわからない。ちょっとした怪現象だ。
 原因を推測できないときは、基本に立ち返って観察するのが一番。仮に机の下に住む魔物が原因ならば、その姿をしっかり見なくてはならない。
 と言うわけで、机の下を眺めていた。でも、怪奇現象のTV番組と同じように観察すると不思議なことが起きないのは世の常。ぼくが見ている前ではなにも起こらなかった。
 「よく落ちる」と言っても、1日に1度程度。落ちる瞬間を目撃したければ8時間ぐらい眺めていなければならない。それはバカらしい。動体検知カメラを仕込んでもブラブラ揺れるぼくの足と行き交う猫ばかり映るだけだろう。
 良い観察手段はないものか?妙案が思い浮かばないまま数日が過ぎていった。
 そして今日、何の前触れもなく作業しているぼくの足元でマルチタップが落ちた。慌てて机の下を覗き込むが、そこには何の姿もなかった。
 落ちたマルチタップを元の位置に戻そうとしたときコードが何かに引っかかっているような張りを感じた。もっと余裕をもって配線したはずだ。
 テンションの高い電源をたどっていったところ、なんとマルチタップを落とす魔物の正体が明らかになった。
 魔物はモニターの裏でくつろぐ猫だった。でも、猫が触れているモニターの電源は別の場所から取っている。落ちるマルチタップには直接関係ない。
 ところが、机の裏を見たら一目瞭然だった。何本ものケーブルが下手な三編みみたいに絡み合っていた。映像ケーブルを引っ張るとUSBケーブルを介してマルチタップにつながる電源が動いた。
 猫から始まる迷惑なピタゴラ装置が、マルチタップを落とす魔物の正体だった。猫に机の上に乗らないよう説得するのは不可能。まずは、ケーブルの混乱を解消することから始めようと思う。