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仮病のススメ

by 唐草 [2022/12/14]



 親戚がよく死ぬ人がいる。そんな悲壮感ある声で連絡しなくても大丈夫。嘘だって分かっているから。
 ここまで極端ではないにしろ明らかにサボりだろうなという連絡を受けた経験は数度ある。一度ぐらいは大目に見てあげるのが人の情けだろう。
 こんなふうに考えているのは、ぼくも面倒なイベントや業務をサボることが(よく)あるから。情けは人のためならず。ダブルスタンダードにならないように自分にも他人にも甘いだけ。
 これまでに遊びの約束から仕事の打ち合わせ、面接に至るまでいろいろなことを何度もサボってきた。多くの場合、仮病を使ってきた。朝起きたら「熱がやばい」とか「頭痛がひどい」と泣き言を並べてドタキャンだ。
 しかし、コロナのせいで発熱の仮病が使いにくくなってきた。昔よりすんなり休ませてくれるのはありがたいけれど、コロナの診断を受けてこいと言われてしまいがち。いろいろ面倒になってサボっているというのに、予約してまで陰性だと分かりきった診断を受けに行くのも億劫だ。そんな訳で発熱仮病によるサボりが難しくなっている。
 また、人を使う立場になってよく分かったことがある。ドタキャンされるのは無茶苦茶迷惑だ。場合によっては「そのまま病気で死んでしまえ」と呪いの言葉を投げつけたくなるぐらい腹が立つ。休んでもいいが、せめて数日前に連絡をしろと声を大にして言いたい。
 昨今の発熱の扱いとドタキャンされる側の被害を考慮した結果、ぼくは考えを改めた。従来のように当日の朝に嘘の発熱連絡はもう絶対にしないと誓った。
 その代わりに、2日前に「ギックリ腰で動けなくなりました」と伝えることにした。
 ぼくはギックリ腰持ちなので症状を文字取り痛いほど理解している。予兆なく発症する。3日ぐらいは杖があっても動くのが辛い。動けないから病院にも行けない。病院に行っても症状が数値化されることも検査キットで確認されることもない。
 この症状と世間の認識って仮病に最適。
 これからは面倒なことを振られたらギックリ腰になります。まぁ、1年に1度ぐらいしか使えないのが玉に瑕だけど。