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ピンクリボンの謎

by 唐草 [2022/12/20]



 近所の遊歩道を歩いていたらフェンスにピンクのリボンが結んであった。もしリボンが1箇所だけなら誰かのいたずらだろうと思って気にもとめなかったに違いない。そうならずリボンの存在がぼくの記憶に深く刻まれたのは数の暴力があったから。
 ピンクのリボンは、だいたい15mの間隔でフェンスやせり出した大きな街路樹の枝先に結ばれていた。リボンの横に立って先を見ると、多少道が曲がっていても次のリボンを確認できるぐらいの間隔である。
 歩けども歩けどもリボンが途切れることはなかった。2kmぐらいはリボンを横目に歩いていただろう。ぼくは途中で遊歩道から出たが、出るときにチラッと遊歩道の先を確認したら数個のリボンが見えた。きっとまだまだリボンは続いているのだろう。
 ピンクリボンといえば、乳がん予防のシンボルとして使われることがある。でも、ぼくが見たピンクのリボンは何かのキャンペーンとは思えない。なにせ人気の少ない湿っぽい遊歩道の茶色いフェンスに無造作に結ばれているだけなのだから。
 リボンの色は、蛍光ピンク。木の陰で昼でも少し薄暗い遊歩道にあっても発光しているように見えるほど鮮やかなピンク。これだけビビッドな色ならリボンを見落とすことはないだろう。
 そう言えば、こんなリボンをどこかで見たことがあるような気がする。
 何だっけ?
 記憶を紐解いて浮かんできたのが、テレビで見た樹林帯を抜ける登山道だった。道に迷わないように目印としてビビッドなピンクリボンが枝に結び付けられていた。その様子は自然の中に無理やり人工物が埋め込まれているようで調和に欠けていた。でも、その違和感が放つ存在感は無視できない。登山経験はないが、これなら行き交う登山客を確実にガイドできるように思えた。
 リボンの色や大きさ、そして結ばれた高さと間隔のどれをとっても登山道にあるガイドのリボンと瓜二つ。ルートガイドのために結んだのだろうか?
 もしそうだとしたら、誰が何のために結んだのだろう?
 うちの近所は山道と同じぐらい険しいというのか。まぁ、確かに舗装はされていないけど…。