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縞の作り方

by 唐草 [2022/12/30]



 猫は不思議いっぱいの生き物と思われがち。頭さえ入ればどんな隙間にもスルスルと潜っていく様子は液体のようだし、上半身と下半身を別々に動かして空中で姿勢を変えるのは奇妙な動きに見える。
 そんな体の柔らかさや俊敏さ以上に猫の不思議さを体感できるものがある。
 それが縞模様の仕組み。これは生命の進化の不思議さと合理性を体感するのにもっとも身近な題材と呼んでいい。
 縞猫の毛を1本ずつ観察しよう。すると1本の毛が何色かに分かれているのを見つけられる。別の場所の毛を見ると同じように何色かに分かれているが、色の並びや各色の幅が異なっている。
 縞模様は、微妙に塗り分けが異なる毛を重ねることで生まれているのだ。それは織物のよう。
 人間からすると1本の毛が複数の色になることだけでも驚きだ。生え始めは金髪なのに伸びてくると途中から赤毛に変わる人なんて見たことがない。金髪と黒髪のハーフが2色の髪になるなんてこともないし、白髪が髪の毛の中程から始まるなんてこともない。1本の髪の毛が2色になっている人は、染めた髪の手入れを怠ったズボらな人だけ。
 伸びる途中で毛の色が変わることだけでも驚異だが、これだけではきれいな縞模様は生まれない。クッキリと縞模様を描くのは、頭から尻尾に向かって色の組み合わせが微妙にズレていくから。規則正しくズレが重なることで初めて縞模様が浮き上がる。
 いったいどんな突然変異が毛の重なりで模様を描くという特質を獲得させたのだろう?長年猫と暮らしているが、縞猫の抜け毛を見て感心しなかったことは一度もない。
 この性質を理解していると白黒猫の毛は面白いことになっていそうな気がする。残念なことに2色アイスのような毛は生えていない。白黒猫は白い毛と黒い毛だけ。ちなみに白い毛の生える皮膚はピンクで黒い毛の生える皮膚はグレーとなっている。いうなればブラックジャック的な皮膚。これはこれで不思議。
 なんで改めて猫の毛について書いたのかと言うと、縞模様の犬ってほとんど見ないなと思ったから。猫の毛の神秘に似たことは、犬の毛では起きなかったのだろうか?