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夢の中の本棚にて

by 唐草 [2023/02/11]



 教壇に立つせいか学校の夢をよく見る。授業もあれば、試験もある。不思議なことにほとんどの夢でぼくは学生側。夢では、知らない人が話す聞いたこともない内容の授業で退屈していたり、回答の糸口さえ見いだせない難解な試験に頭を抱えている。夢で良かった。
 とは言え、多くの夢は苦々しい経験を反映したもの。青春ラブコメみたいな明るく甘いものなどない。夢は実体験がベースになっており、いくら架空の世界と言えども未体験の出来事に身を投じる事はできないと落ち込む。その失望がいっそう目覚めを悪くする。
 今朝も学校に関する夢を見た。異色の夢だったので、ここに記録しておこう。
 
 ぼくは高校の教室にいた。そこには本屋の雑誌コーナーに置かれている平台付きの本棚が設置されており、それが高校なのに学級文庫になっていた。しかも、本棚は机と同列に並んでおり恐ろしくジャマ。
 しかし、ぼくは本棚の平台にまるでコンビニのアイスワゴンのように雑然と並んだ小ぶりの本を漁っている。間違って地元の図書館で借りた本を学級文庫に入れてしまったからだ。
 1冊は『かえる通信』というエッセイ。テレビで活躍する役者が書いた本らしい。これはすでに回収できている。
 必死に探しているのが『修辞学上の羊たち』という小説。淡いエメラルドグリーンの表紙が目印。本を扱うとは思えない雑さで重なった本をかき分けていくと緑の表紙が見えた。手にとると濃い緑と淡い緑の上下ツートンカラーの表紙に、黒い明朝体でタイトルが縦書きされていた。間違いなくこの本だ。地元の図書館のラベルも貼ってある。
 無事に2冊の本を回収した。
 
 と、ここで夢が終わる。
 ぼくの夢にしては珍しく固有名詞がハッキリしている。いつだって夢は曖昧模糊なものだ。
 あまりに具体的な名前なので実在する本の名前なのかもしれない。目覚めるなりネットを検索した。
 『かえる通信』は個人ブログやコミュニティー誌に実在するようだ。ありふれた名前だが、どれも読んだことはない。一方のいかにも文学らしい『修辞学上の羊たち』の方は、サジェストにすら引っかからなかった。