カレンダー

2023/02
   
    
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

音楽の街 in Japan

by 唐草 [2023/02/12]



 アメリカ南部ルイジアナ州のニューオリンズには「音楽の街」という二つ名がある。そう呼ばれるのはジャズ発祥の地というのが由来だそうだ。音楽と文化の歴史を感じる二つ名だ。
 「音楽の街」は、ニューオリンズだけを指す唯一無二の名ではない。アメリカには他にもいくつか「音楽の街」と呼ばれている場所がある。
 南部テネシー州のナッシュビルも「音楽の街」として名高い。ここはカントリーミュージック発祥の地という功績を讃えて「音楽の街」と呼ばれている。また、ナッシュビルのお隣のメンフィスは、ブルース発祥の地として「音楽の街」と呼ばれている。ブルースは南部ミズーリ州のセントルイスも発祥の地とされていて、やはりここも「音楽の街」として親しまれている。
 このようにアメリカ南部には、いくつも「音楽の街」がある。そう言えば、アフリカ系がもたらしたビートとアイルランド系がもたらしたメロディが融合して新しい音楽が次々に生まれたというような話を聞いたことがある。世界的に見ても短期間にここまで多様な音楽が誕生し、そして現代まで受け継がれているのは類を見ない。歴史の悲哀こそあれど多様な文化が交わることで新たな文化が生み出されたという格好の例だ。
 「音楽の街」に似た言葉に「音楽の都」というのもある。これはオーストリアのウィーンただひとつを指す二つ名。数百年にわたってクラシック音楽の中心地として君臨し続けた街に相応しい二つ名である。
 翻って日本に目を向けてみよう。
 日本にも様々な音楽がある。古くは雅楽や神楽といった神に奉納する音楽もあるし、近代の大衆音楽では演歌や歌謡曲という独自のものもある。J-POPというありとあらゆる音楽を吸収した果に生まれたカテゴライズに困る存在もある。
 人種の坩堝であるアメリカに比べたら規模は小さいかもしれないが、日本でも独自のジャンルの音楽は生まれている。
 ところが、日本には「音楽の街」と呼ばれる地域が存在しない。あったとしても「自称:音楽の街」ぐらい。演歌発祥の地とか聞いたことがない。日本の音楽は土地に根ざしていないのだろうか?