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最強サングラス

by 唐草 [2023/03/11]



 量子力学の入門として「二重スリット実験」が有名だ。この実験は、2つの並行な切れ目の入った薄い板を通過したものや現象がどう振る舞うか観測するものである。
 2重スリットに音波を通すとスリット奥にある観測面では音の強弱が縞模様になって現れる。これを干渉縞という。2つのスリットを通過して分かれた波が互いにぶつかって干渉して強弱を生む。光は波長によって色が変わるなど波動性を示す。この装置に普通に光を当てれば波動なので干渉縞が現れる。
 では、この装置に光粒子1個だけを通過させたらどうなるのか?
 光の粒はスリットのどちらか一方だけを通過するので干渉は起きるはずがない。だが、実験すると1粒ずつ光を通しても干渉縞が現れる。
 常識では到底納得できない結果だ。しかし観測されてしまった以上、この現象を説明できる理論が必要になる。そこで活躍するのが量子力学なのだ。
 こんな話を何度も聞いたことがあるし、子供向けアニメーションを見たこともある。でも、全然納得できないし理解できない。
 そもそも光の粒子1つを飛ばすということが信じられない。実は2個ぐらい飛ばしちゃったんじゃないのと装置を疑い出す始末。まるで試験で不正解だったときに出題ミスを疑うような姿勢だ。
 まずは光を1粒だけ飛ばす方法を説明してくれ。ぼくにはそのレベルからの説明が必要なんだ。とバカさを棚に上げて理解を放棄していた。
 ついに、どうやって光を1粒を飛ばしているのかを知ることができた。答は、1982年に浜松ホトニクスが実施した「単一フォトンによるヤングの干渉実験」の記録映像にあった。40年前の実験だが、Youtubeに掲載されている。
 光子を1粒だけ飛ばす方法は、驚くほど単純な仕組みだった。単純に言えば強力サングラスに光を当てるだけ。極限まで光を通さない板を並べて時々光が通過するのを待つ感じだった。
 これなら納得だ。どんなに理屈を聞くよりも、実験を目にする方が遥かにわかりやすい。まさに百聞は一見に如かずだ。
 実験記録は、古いSF映画のような趣があって映像としても面白い。ぜひ一度見てほしい。

単一フォトンによるヤングの干渉実験(浜松ホトニクス/1982年)