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春を告げる声

by 唐草 [2023/04/02]



 どんな瞬間に季節の移ろいを感じるだろうか?今年の春の到来を感じたのは、どこで、どんなことをしているときだっただろうか?
 桜の開花を見たとき。厚手のコートではなく、軽いジャケットに袖を通したとき。掛け布団が1枚減ったとき。タケノコご飯を食べたとき。夕方5時を過ぎても明るいと感じたとき。下手なウグイスの若鳥の鳴き声を耳にしたとき。
 季節の移り変わりを感じるのは、一度限りのことではない。上に挙げたような小さな変化を肌で感じるたびに、一歩一歩春が近づいているのを感じる。そして、一人ひとりが自分自身の感覚で「あぁ、春になったなぁ」と立ち止まって周囲を見渡す時がきっとある。それが、自分にとっての春の訪れなのだろう。
 カレンダーに支配されているとついつい自分の感覚よりも周りの動きを優先しがちだし、情報あふれる現代社会だと立ち止まる余裕すらない。そんな時代だからこそ、自分自身の肌で感じる変化の兆しを見逃さないようにしたい。
 なにも部屋から飛び出し自然を肌で感じる毎日を過ごせと言いたいのではない。目と耳を澄ませば、身の回りの小さな変化からも春の到来を見つけることができる。見つめる先にあるものが、無骨な機械やデジタルの世界だったとしてもだ。
 昨日の午後、ぼくは春の到来を確信した。桜の匂いを探して外へ出たことも大きかったが、家を出る前から春を感じていた。ぼくの春は、今年も耳からやってきた。
 PS4のファンの音がうるさいと思ったからだ。
 冷却が強力になるのは、室温が上がった証拠。冬はエアコンを付けていても風切り音が耳障りになるほどファンは回らない。これは室温が22℃を超えた証。いわば耳で感じる温度計だ。
 これは風情なんてへったくれもないきっかけだが、ぼくにとっては重要な変化。本当に春がやってきた。
 これからファンが音を立ててフル稼働する機会も増えるだろう。今日はPS4の給排気口の掃除だ。電源を抜いて裏返したPS4は、冬の間のホコリで白くなっていた。それをなごり雪に見立てるほどロマンチストではない。