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虫取り網を買おう

by 唐草 [2023/05/22]



 緑の多い多摩で暮らすなら、虫取り網を持つことを強くお勧めする。虫は、不用意に開け放っていた窓から飛び込んでくることもあるし、何気なく取り込んだ洗濯物に付いてきて人を驚かすこともある。
 ぼくは、双方にとって望まれざる侵入を果たしてしまった虫を無慈悲に処分するのではなく穏便に外へと逃がしたい。素手で捕まえられる甲虫なら話は早い。だが、闖入者の種類はまちまち。毒の鱗粉を纏っているかもしれない正体不明の蛾、鎌を振り上げ威嚇しながら飛び回るカマキリ、そして敵意むき出しで針を突き立ててこようとする蜂。素手では立ち向かえない虫もいる。
 そんな攻撃力の高い連中と対峙するときに役に立つのが虫取り網。長いリーチを活かして遠くからさっと捕まえる。網に入ったのを確認したら素早く軸を回転させて網の口を塞ぐ。そのまま外に出て網を開ければお互いに傷つくことなくミッション完了だ。
 今年も玄関先で蜂を何度も見かけている。何かの拍子に蜂が屋内へ入ってきてしまうかもしれない。屋内で強力な蜂用殺虫剤は使いたくないので、虫取り網の活躍が予想される。
 だが、残念なことに現在我が家に虫取り網はない。3年ぐらい前に破れてしまって以来、捕虫網のない生活を送っていた。その間、凶暴な虫の侵入がなかったので事なきを得ているが、これはただラッキーだっただけ。
 備えあれば憂いなし。今年は捕虫網を用意しよう。という訳で、近所のホームセンターを訪れた。前に使っていた網もここで買ったはず。
 多くの商品であふれる広い店内を見回しても虫取り網の影も形もなかった。ゾンビと戦えそうな強力な工具はあるというのに、現実の脅威である蜂と戦う武器である網がないとはどういうことだ。
 10年以上前になるが、前に買ったときは店の入口付近に無造作に何本もの捕虫網が立ててあったように記憶している。
 古い記憶を思い出す内に気づいた。
 捕虫網を買ったのは、暑い夏の日だった。それは、おそらく夏休み。
 そうか、虫取り網は夏の季節商品なのか。ホームセンターにとっては、かき氷機なんかと同じカテゴリーなんだろう。
 枝5個でクラフトできればいいのに。