by 唐草 [2023/09/07]
「サーバの設定をする」と書いているが、具体的にどんな作業をしているのかは伝わっていないだろう。
いくつもの画面を開いて軽快にキーボード打つ姿を想像する人もいるだろう。複雑な画面のアプリを相手に何かを打ち込む姿を想像する人もいるかもしれない。
どっちもハズレ。実際は、コマンド操作のメモ帳で設定ファイルを書いているだけ。端からは、メモ帳を使っているだけにしか見えないだろう。事実、それ以上のものでもない。
そのような単純な作業だからこそ力量の差が如実に現れる。それは単に技量のことだけにとどまらない。優秀な人の書く設定ファイルは、開いた瞬間に思わず「おぉ」と声が出るほど文字の並びが美しいのだ。
美しさの鍵は「 」にある。括弧の中が空欄に見えるのは誤字でもエラーでもない。文字の位置を揃えるための「スペース」の使い方が巧みなのだ。
美しく文字を揃えることは、コンピュータにはなんの意味もない。ファイル容量が肥大化するので悪いとすら言える。
だが、人間には大きな意味がある。きれいに揃っていると設定が理解しやすいだけでなく、スペルミスが浮いて見えてくる。ミスを犯しがちな人間には多くの恩恵をもたらしてくれる。
ぼくもそんな風に誰かをあっと言わせるような美しい設定ファイルを書きたい。そう願っているのだが、これが難しい。
ただのメモ帳を使っているだけなので、アプリが自動的に文字を揃えてくれるなんてことはない。各設定が何文字になるのかを把握して、一行一行手作業で空白をコントロールする必要がある。そんなことができるのは、書く内容を完璧に理解している優秀な技術者だけ。行き当たりばったりで書いているぼくにはできない手業だ。
せめてプログラムだけでも揃えて書くようにしよう。公開するコードは、行揃えだけでなく計算式の間隔も揃っていることが多い。これならアプリの力を借りて実現できそうだ。
そう思って試したらお節介なアプリが自動的に最小限のスペースに変換してしまった。人の目に美しいスペース使いの妙技は、コンピュータには無駄でしかないようだ。なんかちょっと腹が立つ。