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優雅に再起動

by 唐草 [2023/09/11]



 「再起動」は、珍しく日本語が定着したコンピューター用語の1つ。「リブート」や「リスタート」と言うのは稀だ。カタカナ用語が大好きなぼくでさえ再起動を使う。
 ところが、「再起動」という言葉は厄介。一般的にはPCの電源を切ってもう一度起動することを指す。英語の”Reboot”の訳語だ。ところが、調子の悪いアプリを終了させてからもう一度開くことも再起動と呼ぶ。こちらは英語だと”Restart”になる。2つの異なる英語が、1つの同じ日本語に訳されてしまっている。これが誤解を呼ぶ。
 誤解の1つがサーバの再起動。ハードウェアごとリブートするのか、特定のサーバアプリをリスタートするのかが正しく伝わらないことがある。しかも、サーバアプリには何種類かのリスタート方法があるものもある。これが話をややこしくする。
 ぼくは再起動という言葉に振り回された経験がある。原因の1つにWebサーバのApacheがある。Apacheには、制御のために”start”, “stop”, “restart”, “graceful”という4つのコマンドがある。
 見慣れた言葉の中に1つ場違いなものがある。コマンドを直訳すると違和感はさらに増す。
 「起動」、「停止」、「再起動」、「優雅」
 なんだよ「優雅」って?
 Apacheのマニュアルを読んだすべての人がこう思うだろう。
 “graceful”は、穏やかな再起動。再起動は問答無用でアプリを終了させるが、“graceful”は接続済みの処理が終了するのを待ってから再起動を行う。この丁寧な振る舞いが優雅と呼ばれる由縁だろう。
 2種類の再起動は、それ以外にも違う点がいくつかある。変更した設定を反映するタイミングの違いもその1つ。なので、目的に応じて”restart”と“graceful”を使い分けるのが、Apache使いの腕の見せ所だ。
 だが、ぼくは何度やってもこの使い分けを理解できずにいる。先日も”restart”するべき場面で、“graceful”をしてハマっていた。挙動は優雅かもしれないが、管理者には悪夢でしか無い。