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最後のエラー

by 唐草 [2023/11/02]



 ぼくはWebサーバのエラーログを確認しては、人知れず対処している。きっと誰もぼくの仕事に気づいていない。それを虚しく感じることもあるが、健康と同じだと思えば納得できる。何も気づかないのは健康な証。ぼくはサーバの白血球なのだ。
 エラーの原因は様々。多くは半年前のシステム移行に起因するもの。未だに古いURLをブックマークしている人が少なくないようで、存在しないページへのアクセスは多い。システムが移行できても利用者が移行できていない。ログイン後に「ページが見つかりません」と返すページを見て何も思わないのだろうか?きっと思わないのだろう。ぼくにはそれが不思議でならない。
 また、移行にも小さなミスがたくさんあった。移行前のURLや開発環境のパスが残っている部分があったし、単純なローマ字のスペルミスもあった。そんなミスをどうして見落とすのかと不思議に感じるかもしれない。エラーが起きているのが滅多に表示されないページのアイコンだったりすると案外気づかないものなのだ。
 ぼくはサーバのエラーログを見ることで、誰も気づいていなかったり、見過ごされるエラーを調べていく。そして、エラー頻度の多いものから順に対処してきた。
 足りないファイルを足すこともある。存在しないページへのアクセスがあったら、それっぽいページに自動転送するように設定する。様々な方法を駆使して404 Not Foundが発生しないように日々調整を重ねている。
 そのかいあって最近では週に100個程度のエラーしか発生していない。8,000人が使っているシステムだということを考えれば、悪くない数字だ。
 とは言え、その100件のエラーが手ごわい。なぜ起きているのか理解できない謎のエラーばかりだからだ。
 今、ぼくを悩ませているのは、サイトでは一切使っていないWebフォントにアクセスしようとするエラー。なぜ、そんなエラーが起きるのかさっぱり理解できない。
 今のエラーログは、簡単なエラーから順に駆逐されたエラーの蠱毒の壺のよう。最後まで残った理解を超えたエラーだけが蠢いている。そろそろログを見るのが怖くなってきた。