by 唐草 [2023/11/03]
『STARFILED』は、NASAの監修を受けているらしい。月と火星はNASAの観測データを用いて正確な外観をしているらしい。どのスケールまでが実際の観測データに基づいているかは分からない。ゲームの都合から考えると軌道上からの様子がNASAのデータで、着陸した風景はアルゴリズムでの描画だろう。
アルゴリズムで描画された風景もNASA監修の可能性は高い。
ゲームには実在・架空をあわせ様々な惑星が登場して、その多くに着陸することができる。超高性能な宇宙服を着ているので、500℃を超える恒星に近い灼熱の星から-200℃以下の星系最外周の星まで着陸できる。
恒星からの距離がちょうどいいハビタブル・ゾーンの惑星に降りれば生命がある。ゲームには、地球のような生命体のいる惑星がいくつも登場する。
とは言え、9割の惑星が生命がないどころか大気すら存在しない死の星だ。その風景は、殺風景。ゲームではガス惑星以外の星で有人・無人の資源採掘が行われている。なので、建物や宇宙船が殺風景な景色にアクセントを与えている。
宇宙科学的監修に基づく死の星を見てぼくは思った。
きっと実際の宇宙もこんな感じで死の星ばかりだし、今ある宇宙服で降りられるのは岩と砂が広がる静かな星だけだろうと。
火星や月だってそんな殺風景な星だ。
ゲームで死の星に着陸しても感動はない。実際に宇宙へ手軽に行けるようになったとして、ぼくは月や火星のような砂と岩だけの星に降りて何を思うだろう?
火星に降り立ったという事実には感動するが、目の前に広がる手つかずの風景に心を動かされるとは思えない。それは、ぼくがこれまでに育んできた美しいと感じる自然の光景とはかけ離れているからだ。
ぼくが美しいと感じるのは、地球の自然の中で多くの生き物と環境が作り出した森や海などの光景。言うなれば、時代を超えた生命の痕跡だ。それなくして心は動かない。つまり、地球の光景がすべての基準。ぼくは根っからの地球人なのだ。
遠い将来、土星の衛星のタイタンで育った人がいたら、凍ったメタンの海や荒れ狂う砂嵐を見て郷愁を覚えるのだろうか?