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黒い本の功績

by 唐草 [2023/11/05]



 先日、Yahoo!ニュースで陰謀論にハマりやすい人とそうでない人の差を調査研究が紹介されていた。
 これまで陰謀論にハマる人は、社会に対して不満のある人や頭が良すぎる人が多いとまことしやかに言われていた。その説が本当なのか、それともその説自体が陰謀論まがいの根拠なき噂なのかは誰にも分かっていなかった。1つ言えることは、誰もが自分は陰謀論にハマるはずないと信じていることだけだった。
 調査の結果は、身も蓋もないものだった。社会への不満や賢すぎることは、陰謀論にハマる大きな要素ではなかった。それよりも重要なのは、論理的思考ができるかどうかだった。ようするに熟考できない人が陰謀論にハマりやすいという面白味に欠ける事実が明らかになっただけだったそうだ。乱暴な言い方で研究をまとめれば「頭の悪い人が陰謀論にハマる」と言ってるようなものだった。
 記事によると研究では次のようなクイズで被験者の論理的思考能力を測っていた。

 『ボールとバットの合計金額は1,100円。バットはボールより1,000円高い。ではボールの値段は?』
 
 この問いに脊髄反射で「100円」と答えてしまうと論理的思考能力が低いという烙印を押されてしまう。正解は50円だ。
 バットの値段をx、ボールの値段をyとして連立方程式を書けば答は明らか。
 x + y = 1100
 x - y = 1000
 
 ぼくはこんな問題に引っかかりはしない。小学生の頃でも正解できた。
 それはぼくが十分に賢いから!
 と言えればいいのだが、真相は違う。小学生の時にこの問題を知っていたからだ。ぼくは小学生の時に手に取った『パズルグラム』という本をきっかけに、論理クイズにハマった。帽子の色当てに始まり、天使と悪魔問題、奴隷の命を使った論理演算、そしてモンティーホール問題に至るまでありとあらゆるパズルをかじって、解法を覚えた。
 だからバット・ボール問題程度の入門クラスの論理クイズで躓くことはない。でも、これは賢さではなく知識による正解。熟考できているとは言えない。
 きっとぼくは陰謀論にハマる。いや、すでにハマっているのだろう。