by 唐草 [2023/11/14]
有名な函館山からの夜景。ぼくは実際に見たことがある。自然が作り出した特徴的な地形とそこで暮らす人々が作り出す街の灯が、融合した見事な景色だったのはよく覚えている。そして、「荒天で夜景が見えない日も多いが、今晩は見えてよかった」と安堵していたツアー添乗員の姿が夜景以上に記憶に残っている。
函館山からの夜景に関して大きな勘違いをしている人が少なくないという話がある。
函館山から見えるのは、津軽海峡に面したくびれた形の砂州にある函館の街。しかし、そうではなく、見えているのは北海道の西にあるエビの尻尾みたいな形の巨大な渡島半島だと勘違いしているという話だ。
確かに函館山から見える左右を海に囲まれくびれた街は、渡島半島のくびれに似ている。有名な夜景スポットであることを考えると北海道を代表する地形を一望できるものだと早合点してしまう気持ちも分からなくはない。
だが、それは北海道のスケールを舐めているとしか言えない。渋谷、新宿、池袋をぐるりと1日で周るのと同じように、札幌、旭川、稚内を日帰りで周れると勘違いしているのと同じスケール感なのだろう。
函館の夜景を勘違いしている人々を厳しく責めた。もしこの勘違いが真に責められるべきことなら、ぼくが過去に犯していた勘違いは断罪に値するものと言える。函館の勘違いの10倍ぐらいのスケールの勘違いをしていたからだ。
そんな過去の勘違いを世界地図を見て思い出した。ここに過ちを告白しよう。
ぼくが勘違いしていたのは香港。
香港といえばイギリスと中国の複雑な歴史の舞台。そうなった理由の1つに大陸から突き出た半島と島という特殊な地形が関係しているかもしれない。歴史的経緯はよくわからないが、ぼくにとって香港は半島+島というイメージが固まっていた。
そのイメージだけで地図で中国の形を確認した昔のぼくは確信した。南シナ海に浮かぶ島が香港に違いないと!
だが、ぼくは間違っていた。
ぼくが香港だと確信していたのは、海南省の海南島だった。その事実を知り、改めて地図で香港を探したぼくはこう言った。
「香港、ちっせーな!」