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アメリカのズボラ飯

by 唐草 [2021/04/26]



 アメリカのドラマにマカロニ&チーズという料理が出てくることがある。茹でたマカロニに溶かしたチーズをかけただけのシンプルな料理。こう書くと美味しそうに見えるが、イタリア料理ではなくアメリカ料理であることを忘れてはならない。黄色い小さなマカロニが溶けた黄色いチーズの中に浮いているだけのひどい見た目の料理だ。似たものを朝の駅前の地面で見たことがある。
 見た目同様に料理の格も低いらしい。キットを使って電子レンジ温めるだけなので「料理ができない人が作る料理」という扱いを受けている。日本で言えば、具なしのインスタントラーメンと同じような感じ。手っ取り早く作れて腹を満たしてくれるだけが取り柄の料理と考えて間違いないようだ。
 食文化を理解するためにマカロニ&チーズを食べてみたい。ネットを検索すればレシピはいくらでも見つかる。でも、それらに目を通すとホワイトソースを作るところから始めている。ホワイトソース作りは、気を抜けないし時間もかかって難しい。料理が下手な人の手に負えるものではない。そしてなにより美味しそうなのだ。
 それじゃダメだ。ぼくが求めているのは、アメリカ大衆食文化を理解するための本場の手抜きの味。本場の味を体験するには、1から10まで全部アメリカと同じやり方が必要なんだ。
 ぼくはアプローチを変えた。輸入食材店でアメリカから輸入されたマカロニ&チーズのキットを買うことにした。ドラマでも紙箱からザラザラとマカロニを出して、付属の粉をかけて電子レンジに入れていた。むしろキットこそ正しいズボラ飯の姿。
 と言う訳で先日、多くの輸入食材を扱うカルディを訪れた。好き嫌いが分かれるような尖った品も扱っている店なので、マカロニ&チーズぐらいメジャーなものならきっとあるだろうと期待に胸を膨らませていた。
 だが、マカロニ&チーズはどこにもなかった。ひょっとしてカルディでも扱わないぐらいマズイものなの?もしそうだとすれば、怖いもの見たさ的な好奇心がムクムクと湧いてくる。なんとしてでも食べてやる。