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ペンギンを見たい

by 唐草 [2023/02/05]



 ペンギンが見たい。生きているペンギンをこの目で見たい。
 そんな衝動がこみ上げてきた。
 これはペンギン好きの心からの叫びだ。ペンギンの写真集を開いても、SNSでペンギンの動画を見ても満たされない。むしろ喉が渇いたときに塩水を飲まされるようにぼくの内なるペンギンへの渇望が増すばかり。
 このペンギン熱を放置していたら南極への渡航も視野に入りだすだろう。早めに手を打つ必要がある。海を矢のように泳ぐ姿を見たいなんて贅沢は言わない。水族館をヨチヨチ歩く姿で良いからペンギンを見ないと。
 東京近郊でペンギンが見られる水族館はどこだ?ネットを検索すると上野動物園、葛西臨海水族園、サンシャインといった有名所が並ぶ。どこも多摩に暮らすぼくからは南極に行くのと大差ないほど遠くに感じられる。多摩動物園や井の頭自然文化園といった多摩民が慣れ親しんだ所にペンギンはいないのか!
 ペンギンの居る動物園リストをスクロールしていたら多摩の地名が出てきた。
 それが羽村市動物公園。
 えっ、あそこにペンギンいるの?目を疑ってしまった。
 羽村市動物公園の名前は聞いたことがあるが、実際に足を運んだことはない。とても小さな動物園だという噂を耳にしたことがあるだけ。なので、ヤギとかモルモットと触れ合えるぐらいの牧場程度の施設だと考えていた。
 ペンギンがいるならぼくの想像より動物園らしいかもしれない。それに近年改修をして立派な施設になったのかもしれない。
 期待を胸に羽村市動物公園のWebサイトを確認した。
 展示動物の中には確かに顔の黒いマゼランペンギンがいた。オウサマペンギンを見たいぼくとしてはやや物足りないが、それでもペンギンがいるならそれでいい。
 ペンギンの他にもサーバルキャットやシマウマなんかも掲載されている。もちろん噂通りにヤギやモルモットも載っていた。それでも思っていたよりしっかりした動物園のようだ。
 と安心しかけたぼくを不意打ちが襲う。展示物のリストに金魚とアカミミガメが載っていた。その辺の池にもいるだろ、こいつらは。やっぱりなんか不安になる。