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1回目

by 唐草 [2021/08/17]



 本日、コロナウイルスワクチンの1回目を摂取した。
 先日の市民対抗予約枠争奪戦で勝利した成果である。第一希望のかかりつけ医の予約は取れず市の接種センターでの接種となった。幸運なことに市の接種センターは我が家から徒歩圏内だし、通勤で通る場所にある。公共交通機関を使って見ず知らずの場所に行くよりはずっと気楽だ。
 とは言え、ワクチンに関する真偽不詳の噂が飛び交っているし、副反応に苦慮した話も直接耳にしている。注射なんてインフルエンザの予防接種を20年ぐらい前に受けて以来である。会場が近いからと言って、遊園地に向かう子供ようにウキウキした気分にはなれない。
 空模様もぼくの気分のようにどんよりとしている。とは言え、8月始めに今日の15時の予約を取ったときは、灼熱の太陽に照らされて会場へと向かうことを覚悟していた。それに比べれば、夏日にもなっていない曇天は恵みと言えるかもしれない。身の回りのポジティブなことを見つけて自分を鼓舞しながら会場入りした。
 会場に入ってからは、工場のベルトコンベアに載せられたかのようにシステマチックにことが運んでいった。係員は、RPGの町の人のように一日中同じことを繰り返し口にしているのだろう。問診をする医者もきっと同じだ。定型の質問を投げかけるだけ。答えるぼくもRPG気分で「これ、『いいえ』って答えたらイベント失敗になるやつだ」と思いながら愛想よく「はい」と答えていった。
 プロトコルに従い注射エリアまで到達。針を見ないようにしていたが緊張していたようで「腕の力を抜いてください」とダメ出しされてしまった。これが唯一の人間的なやり取りだろうか?いや、多くの人が少なからず緊張しているだろうし、注射慣れしている人も多くはない。きっとこの注意もフォーマット通りなのだろう。
 最後の待合いスペースでも何も起きなかった。隣の人がアナフィラキシーショックで倒れたらどうしようという能天気な心配、ようするに自分には何事も起こらないはずだという危機感のなさから生まれる心配は杞憂に終わった。
 辛いのは明日からかもしれないが、今は1度目の接種を終えられたことでの安堵でいっぱいだ。