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ゲームしてるって思われたくない

by 唐草 [2022/11/11]



 電車の中で周囲の乗客の様子を見渡すと老いも若きも一心不乱にスマホの小さな画面を見つめている。ぼくだって周囲の乗客を見渡す前はスマホの画面に釘付けになっていた。自分のことを棚に上げて周囲を批判するつもりもないし、そもそもスマホに目を奪われていることを批判するつもりもない。
 退屈なときに便利で楽しいものが手の中にあったら、それに集中してしまうのは当然のこと。古くは新聞や文庫本だった暇つぶしの種がスマホに変わっただけに過ぎない。
 暇つぶしに精を出す人々の手元をよく見ると、多くの人のスマホが縦位置になっている。SNSやネットニュースなんかを読んでいるのだろう。画面の上ではクイックイッとリズミカルに指が動いている。あの指の動きは貪欲に情報を求める動きと言っていいだろう。
 スマホを横持ちしている人は少数派だ。その多くがイヤホンをつけている。でも、指の動きは人によってまったく異なる。片手でスマホを支えてほとんど指が動かない人は、おそらく動画を見ているのだろう。両手でガッシリとスマホをつかんで両手の親指でグリグリ画面を操作している人もいる。こういう人はたぶんゲームで遊んでいる。
 スマホの向きと指の動きをちょっと見ただけで、その人がどのように暇をつぶしているかは筒抜けである。どんな風にスマホを使っているかを知られて困ることはないので、多くの人が無防備な操作の姿を晒している。
 でも、無駄にプライドの高いぼくは周囲から「あいつゲームやってんな」と思われたくない。ゲームで遊んでいることが小学生にバレると画面を覗き込んできたりすることもある。別に見られて恥ずかしいようなゲームで遊んでいるわけではないけれど、いかにもオタクな容姿のぼくがゲームをやっていると思われたら良からぬ想像をされても仕方ない。なにせぼく自身が自分と同じようなタイプの人間がゲームで遊んでいるのを見つけると「広告に流れているような露出高めの衣装の女の子を指でいじくり回しているんだろうな」と考えたりしているからだ。
 完全に同族嫌悪である。
 だからぼくがスマホゲーを作るなら縦持ちにするよ。