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すぐ隣まで

by 唐草 [2022/04/21]



 コロナ第5波までは、新規感染者が増えるペースと減るペースがだいたい同じだった。振り返ってみればきれいな釣鐘型の分布を示していて、自然に潜む数学の不思議に感心していた。
 だから第6波も同じ傾向になると予想していた。残念なことに、その予想は外れた。これまでとは異なる下げ止まりに直面している。感染者推移のグラフには、ガウス分布の影も形もない。
 この推移の傾向は、これまでと同じ対応では不十分だということを告げているのかもしれない。対策の進化よりもウイルスの進化のほうが勝っていたと考えることもできる。
 これだけ新規感染者が出続けていると様々なところから感染の話を聞くことになる。取引先の1つの担当者は、ぼくと契約を結ぶ直前に感染したそうだ。先方が発症していたころは、まだ人伝に紹介されただけの関係だったのでギリギリ2次の隔たりがある関係だった。
 先日、ついに仕事で直接付き合いのある人から感染報告の連絡があった。いよいよ1次の隔たりまでコロナの包囲網が狭まってきた。これまで以上に危機感を覚えている。
 同時に「きっとコロナにかかる」と思っていた人からの報告なので、ぼくの感じた驚きは複雑なものだった。危機が目の前に迫ってきたという驚きと自分の予想が的中したことへの驚きが入り混じった複雑な感情だ。
 コロナ感染を予想していた理由は単純。他人を巻き込まないとは言え、反ワクチンな人だったから。
 入念な対応があれば感染予防できるという傲慢さ。そして、政府が頭ごなしに強制することに対して反感を示す反骨心。この2つを持ち合わせた人だ。それでも、他人のワクチン接種を止めるような非常識な人ではない。
 むしろ他人の考えを尊重するのと同じように自分の考えを尊重しろというタイプ。
 10年近く付き合いがあるのでワクチンを受けないことは想定済みだった。だから、コロナにかかることも想定済み。考えるべきは、いつかかるかだった。
 共同の仕事に取り組んでいるので迷惑をかけることを詫びる連絡があった。それに対して「この状況は想定範囲内なので療養に専念してください」と返したのが本音でもあり、嫌味でもある。