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自作という呼び方

by 唐草 [2022/05/03]



 自分でCPUやマザーボード、電源などのPCパーツを買い揃えて完成させたPCのことを「自作PC」と呼ぶ。ぼくが初めて「自作PC」という言葉を聞いたのは、25年ぐらい前だと記憶している。最大1.5倍速までクロックアップできたCeleron 300Aが、一斉を風靡していた1990年代後半の話。
 ちょうどその頃、PC規格の標準化が実現して様々なパーツが市場に出回るようになった。おかげで、パーツ選びに幅が出たし、同時に自作のハードルがぐっと下がった。格安だったり超高性能だったりとメーカー品には無いような個性的なPCを組めるようになった最初の時期。自作PC文化が花開いた時期と言えるだろう。
 「自作PC」という言葉はそれ以前にもあったようだが、定着したのはこの頃ではないかと考えている。以来、四半世紀以上にわたって変わること無く今日まで受け継がれてきた。取って代わる言葉が登場したことすら無い。ずっと天下を取っている
 (PCオタク界隈では)すっかり市民権を得た「自作PC」という言葉だが、ぼくは初めて聞いたときから納得できない言葉だった。その思いは、25年たった今でも変わらない。むしろ、自作PCを組み立てれば組み立てるほど違和感が募っていく。
 「自作」と称しているが、実際は買ってきた部品を組み合わせているだけにすぎない。使う工具だってドライバーだけ。電子工作っぽい雰囲気があるが、ハンダゴテの出番はない。はっきり言ってプラモデルを作るより簡単だ。無塗装のガンプラレベルの作業。一番似ているのは、IKEAの組立家具を形にする作業だろう。
 そんな工程を「作る」と呼ぶには、専門性も創造性も欠けているように思える。だから「自作」という言葉を素直には受け入れられなかった。
 ぼくはPCを形にすることを「作る」ではなく「組む」という言葉で表すことが多い。それもあり、本心では「自作PC」ではなく「自組PC」と呼びたい。でも、誰にも通じそうにないし、そういう細かいところにこだわってしまうのがオタクの気持ち悪いポイントだと心得ている。だから、自分の魂を押し殺して「自作PC」と呼ぶことにしている。