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高い視野から

by 唐草 [2023/03/06]



 外壁塗り替えが終わったばかりの我が家は、比喩ではなく本当に輝いている。家の形が古いので新築には見えないが、それでも陽の光を受けた白い壁は剥きたてのゆで卵のよう。職人さんたちが2週間掛けて丁寧な仕事をしてくれた成果の輝きだ。
 外壁の成果には大満足している。その一方で、同時に補修した屋根の成果には外壁ほど満足しているとは言えない。
 屋根の張替え工事は、外壁塗装と同じチームが行っている。なので仕事の内容には全幅の信頼を寄せている。また、新しい屋根材も価格とのバランスを考慮して選んだし、工法の説明にも納得している。限られた予算の中で最大限の努力をした自負もある。
 でも、壁ほどは満足できていない。
 それは、自分の目で新しくなった屋根を隅から隅まで見ることができないからだ。
 壁は、買い物などで家に出入りするときにきれいな状態を目にできる。そのたびに成果への満足感がこみ上げてくる。そして、壁と同じように新しい天井の様子も確認したいと思う。
 だが、家の前の通りに立って自宅を見上げても屋根はほとんど見えない。自宅の屋根を確認するにはもっと離れたところから見る必要がある。
 だが、込み入った住宅街の袋小路に建つ我が家を遠くから見るのは難しい。少し離れてしまうと他の家の影になってしまう。高台でもあれば良いのだが近所はどこも平坦。
 自分の体だけではどう頑張っても屋根を見るのは難しい。ならばテクノロジーに頼るしか他にない。
 長い竿の先にスマホを取り付ける方法をテクノロジーとは呼びたくない。今ならやはりドローンを使って空撮して確認するのが最先端の方法だろう。
 と言うわけで、今ものすごくドローンがほしい。
 だが、屋根を撮影するのに必要な時間はせいぜい5分。ものすごくコスパの悪い方法だ。
 ぼくがこんなにも自宅の屋根を見るのに苦労しているが、裏のアパートの2階に住んでいる人はなんの苦もなく見られるのだろう。ぼくにとってのドローンは、近所の家のベランダに立つのと同じ程度の価値しかない。そう考えると最先端テクノロジーの負けに思えてくる。